言語学で、インターネットの検索エンジンで、検索するとこのフォーラムのページ がかなり上の方ででてくる。フォーラムをはじめて、数年がたったが、ネットの世界 では認知が進んでいるようで、よろこばしいことである。 フォーラムをはじめたとき、言語学という名前ではじめたが、日本語学と英語学を 中心にした研究と言うことが、暗黙の内に了解されていたと思う。このジャンルの研 究は今も盛んである。それまでは、言語学という学問の名前は、書店では、古典的な フランス流の一般言語学か、言語哲学風のものと思われてきた。それの名前を、ある 意味ではずらしたと言うことができよう。とはいうものの、私は、言語を扱うジャンルとして、工学的なものも取り込めないものだろうかと最近は思うようになった。 工学的なものと文化系の言語研究は対立するものではなくて、最近では、工学的な知見が、全ての研究の基礎にまでなりつつある。しかも、情報処理というジャンルは、テキストを処理するから、そのおおもとに言語を使っているといえる。 にもかかわらず、言語学と情報処理の往復はすくない。言語学はせっかく、可能性 をもった学問であるのにもかかわらずもったいないと思うのだが。工学系と人文系で は、本の買い方も違うし、研究の仕方もことなっている。出版社としては両方を いっしょに取り扱うのは難しい。それが出版社の企画の中で、連携できない理由だが、 それはささやかな障壁に過ぎないと私は、過信している。 言語学出版社フォーラムが、そうした次世代の新しい言語研究のために、ささやか な障壁をこえるきっかけになればと思っている。
ひつじ書房 松本 功