出版業界が戦後初めてマイナス成長に陥ったのは1997年でした。あれから昨年までの5年間マイナス成長は続き、今年2002年も、講談社や小学館といった大手が赤字経営に陥ったことから予測すると、6年連続のマイナス成長は避けられないように思われます。わが言語学出版社フォーラムが誕生したのは1998年でしたから、いわば出版業界のマイナス成長とともに歩んできたということになります。
ところで、言語学出版社フォーラムを始めて、メンバーの中に委託配本を全くしない出版社が数社あることを知りました。専門書の販売メソッドの多くを委託制度に負っている出版社に身を置く私のような者からすると、これは大変な驚きでした。「えっ、どうやって売るの?」という感じでした。その委託制度を、再販制度とともに出版不況の元凶と指摘する人は、佐野眞一さんの『本コロ』『本コロ 延長戦』以後ますます増え、「出版市場は肥大化しすぎたのであり、今は適正規模をみつけようとあがいている。」という東京電機大学出版局の植村八潮さんの見解にはとても重みがあります。これまでは、如何に委託を増やすかばかりを考えてきましたが、これからはこれまでとは違った販売メソッドを確立しつつ、如何に委託を減らすか止めるかを考えて行きたいと思います。メンバーのMさんOさん、ご指導宜しくお願い致します。
大修館書店 青木三郎