言語学出版社フォーラムは、この11月8日で結成満5年を迎えます。この区切りの時期を迎えて、結成からこれまでの来し方を考えながら思うのは、
一体この5年間で何ができたかということです。年毎の目録の刊行、ブックフェアの実施は最低限のことであり、それ以外のことはあまりできなかったなあ、
というのが実感です。最大の思いは、書店の棚スペースに言語学書が市民権を得られたかということですが、言語学書は相変わらず、英語学、日本語学、
哲学といった棚に埋もれてしまっているのが現状です。思えばこのフォーラムを結成することとなったきっかけは、東北の書店を訪問された時の
「書店の棚に言語学書がほとんどない。」という松本さん(ひつじ書房)のボヤキからでしたが……。
けれどもよくよく考えてみると、理想的な言語学の棚とはどういう棚なんだろうと問われた時、言語学関係出版社に身を置いている私自身、自信をもって
明確な返事ができるかはなはだ心もとない。自社版を押し込むだけは得意なんだけれども。そう言えばこの5年間、フォーラムの仲間と‘書店の棚’
について語ったことは一度もありませんでした。そうだ、初心に帰って、近いうちに仲間の皆さんと‘書店の棚’なかんずく ‘言語学の棚’について
徹底的に語る時間を持つこととしよう。
大修館書店 青木三郎