刊行しています その2
担当した本、『可能性としての文化情報リテラシー』が刊行されております。
「文化情報リテラシー」、耳慣れない言葉かも知れません。「リテラシー」というのは物事を読み解き、発信する力のことです。ですので、「文化情報リテラシー」は文化を読み解き、発信する能力ということになります。
文化、と一口に言っても、様々なものがあります。例えば伝統芸能は、かなりフォーマルな場で使われる「文化」という言葉に含まれているイメージがあります。また国によって話し方が違う、ということを「文化が違う」というふうに表現することもありますが、これは「文化」という言葉のラフな使い方のように思います。
では、この本で扱っている「文化」「文化情報」はなにかと言いますと、これが一言では言い表すことができません。それこそ「文化」としか言えないのです。具体的な題材はフィールドワーク、人形浄瑠璃、音声コミュニケーション、ろう文化などなど、順番にあげていくことができます。しかしながらそれらを総称する言葉は「文化」としか言えないように思います。
『可能性としての文化情報リテラシー』には14本の論文が載っております。囃し田と呼ばれる芸能から複雑系まで、ばらばらな題材を扱っているこれらの論文の共通点がなにかと言いますと、「文化」に対する新しい研究法を提示しているということです。
本書の中で、編者の定延利之先生は、多くの文化研究者が「文学のように、学問でありさえすれば科学的でなくても構わない」のではなく、「学問であることは大事だが、できれば科学的性質も備えたい」と思っているということを指摘されています。本書ではこの言葉の通り、「文化を科学的に研究する方法」を提示しているのです。
前置きが長くなりました。いろいろなジャンルの研究をのぞくことができるのが、この本の魅力の一つです。楽譜と三葉虫の写真が共存している本は、そうないと思います。
HPの写真ではわかりづらいですが、きらきらした紙を使った、涼しげなデザインの表紙です。ぜひ、ご覧ください。
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