HOMEへ過去の日誌3月の日誌スタッフ紹介

4月

2010.4.28(水)

受賞おめでとうございます

トップページでもお知らせいたしましたが、堀田隆一先生のご著書『The Development of the Nominal Plural Forms in Early Middle English』が日本中世英語英文学会松浪奨励賞の佳作を受賞されました。おめでとうございます。
賞がすべてとは思いませんが、担当編集者としましても、自分が関わらせていただいた本が受賞ということで大変励みになります。
http://www.hituzi.co.jp/books/403.html

日本中世英語英文学会のホームページには、学会賞についてのページはとくに用意されていないようです。折角賞が設けられているのだから、積極的に発信して欲しいと思います。歴史になるのですから。

さて、受賞関係でもう一つ。

直接的にひつじ書房から出た本ではありませんが、昨年刊行した『昭和十年前後の太宰治』の著者である松本和也先生が、平田オリザ氏の演劇論で第26回名古屋文化振興賞の評論部門に入選されたとのことです。

http://www.bunka758.or.jp/03jigyo/03jigyo_syou01_01%20bunshin21.html

松本和也先生は実は昨年も、同賞の川上弘美論で佳作を受賞されており、非常に多彩なご活躍のご様子。

おめでとうございます。



2010.4.28(水)

できれば書を捨てずに町に出てください

「きどにたちかけし衣食住」ということばをご存じでしょうか。
雑談の話題に向いているものの覚え方だそうです。

き 季節
ど 道楽
に ニュース
た 旅
ち 知人
か 家族
け 健康
し 出身地




連休前のこの時期には、「た」の旅の話に花が咲く方も多いかもしれません。知らない町を訪ねるのは楽しいものです。
今年はなかなかうまい具合に連休が続きます。休みをずらして6連休、あるいは7連休にしたという話も聞きます。
ちなみに、ひつじ書房は暦通りの営業となります。
御用のみなさま、ご注意ください。



2010.4.27(火)

本作り

入社してから編集に携わるようになって、担当した冊数も20冊近くなりました。 経験が増えると、時間のかけ方や、段取りなど、いろいろと予測しながら編集を進めることができるようになりました。

編集の過程は、原稿を印刷所に入稿することから始まります。その書籍にふさわしい体裁を考えて、「割付け」という作業をします。これは、印刷所に向けて、原稿に赤字で体裁指示を入れる作業です。タイトル、見出しの大きさは何級にするか、行取りはどれくらいにするか、などです。こういった指示は、本のデザインですので、デザイナーの方にお願いすることもありますが、基本的には、社内で行います。

編集の作業は、つみきを重ねて、なにかを作るのと似ていると感じます。最初の土台がしっかりしていないと、ぐらついたり、最終段のときに崩れてしまいます。途中の段をとばしていきなり最終段にも行けません。たとえば、ページ数が決まらなければ、束幅も決まりませんし、束幅が決まらなければ、デザイナーさんに束幅の指示を伝えられません。

ハードカバーの本となると、カバーや箱のデザインのために束見本という見本の書籍を作ります。これを作るにもページ数がある程度決まらないと製本屋さんに発注できません。ひとつづつ、解決していかなければ先には進めません。刊行前の大詰めの時期になると、気ばかりあせりますが、この流れを順々に追っていっていくしか方法はありません。

でも、順をおって、きちんと編集を進めていけば、必ず本をつくることができます。当たり前のことですが、物事は積み重ねでできていて、その成果は必ずしも、すぐに出なかったり、目に見える変化だけではないのだと思います。



2010.4.26(月)

物思うこひつじ

たいそうご無沙汰しております、こひつじ工藤です。久々なので、長い日誌を書こうかと思います。

事業仕分け第2弾が世間をにぎわせていますね。
今回は、独法の研究開発に関するいくつかの部分が対象になるということで、ことさらに注目しているところです。

この日誌を読んでくださっている方々の多くは、アカデミズムの中においでの方々だと思いますので、改めて繰り返すこともないことだろうとは思いますが、研究というものは、おこなわれている最中には、その成果が身に見えるかたちで現れないものが多くあります。今月頑張ったことが来月脚光を浴びるというようなものではないわけです。もちろん、なぜその費用が必要なのか、目標はどこで、いまはその過程のどこにいるのかを明らかにする義務はあるでしょう。
ただ、ひとつの大きな成果の下には、数え切れないほどの基礎的な研究の成果があるわけですし、それらの基礎的な、個々の研究の多くは、巨額の予算を取ることもなく、地道に蓄積されていったものなわけです。
何かとB/Cに言及がなされ、即結果が出ないものには投資の価値なし、とでもいうような拙速な要求が、研究面だけでなく、福祉や教育、保険や衛生など、けっこういろんな場所で求められている気がしてなりません。
「百年樹人」と申します。研究(または教育、または福祉)を、ひいては人を育てることを、もっと長期的な視野で見ていってほしいと、事業仕分けに直接関係のある人たちだけでなく、社会に対しても、問いかけたい気持ちです。


そんな、人を育てるための投資、といいますか、施策に関する本が出ます。

言語政策として「日本語の普及」はどうあったか

海外における日本語の普及事業については、戦前、戦中期の研究は少なくないのですが、戦後から現在にいたるまで、それらがどのようになされてきたのか、という研究は、そう多くはありません。
日本語の普及≒日本文化の普及という暗黙の図式、ナショナリズム、政局の変遷、省庁の管轄、外交政策、景気の上下などのさまざまな状況の中で、「日本語の普及」はいかになされてきたのか。今回の事業仕分けの俎上にも上げられている国際交流基金(予定では明日ですね)の動向を中心に、戦後の日本語普及事業を考えます。

国際文化交流における言語政策研究の嚆矢となる1冊、連休明けに刊行予定です。

工藤



2010.4.22(木)

時ニモマケズ

本を丸々一冊、書き写したことがあります。
小学生の頃のことです。どうしてもほしい本が絶版になっていて、書店では手に入りませんでした。まだ今ほどネットが一般的でなかった時代です。あきらめきれず、さりとて古本を探す技術も知識もありませんでした。近所の図書館では借りることができたのですが、図書館には当然のごとく返却期限があります。どうしても手元に置きたかったのです。
そこでどうしたかといえば、昔の修道僧のごとく、ノートに鉛筆で一字一句書き写しました(コピー機を使わなかったのは、小学生でお金がなかったからです)。 我ながら手間のかかることをしたと関心します。結局ノート4冊分を、1ヶ月ほどかかって書き写しました。

というようなことを思い出しますと、印刷機というのは素晴らしい発明だとつくづく思うのです。三大発明品といえば火薬と羅針盤、そして活版印刷だというのも納得です。1文字1文字書き写すことに比べると、そのスピードは脅威的です。

さて前置きが長くなりましたが、昨日、オールライト工房さんでお話をうかがい、活版印刷機を見せていただきました。現在の活版印刷は、スピードではなく、その質感が武器になっているようです。たしかに、見せていただいたポスターなどは普通の印刷物よりも味がある仕上がりでした。
この「味」というのはどこからくるのでしょうか。わずかに紙がへこむことでできる影でしょうか。いわゆる印刷物が二次元の世界なら、活版印刷は三次元の世界に近いのかもしれません(もちろん、厳密には活版以外の印刷物にだってインクの厚みがあるはずですが)。
活版印刷が主流だったころは、それが武器ではなかったことと思います。しかし別の技術が台頭してくる中で、活版という方法自体は変わらずとも、使い手にとっての「活版印刷」が変化したといえるのではないでしょうか。

オールライト工房のみなさま、ありがとうございました。



2010.4.22(木)

本を贈る

明日、4月23日は「サン・ジョルディの日」です。

とはいえ、世間的にどのくらいの認知度があるのかよくわかりません。ウィキペディア(Wikipedia)によると、もともと伝統的に赤いバラを贈りあう日に、スペイン・カタルーニャ地方の本屋がセルバンテス(小説『ドン・キホーテ』の著者)の命日とシェイクスピアの誕生日を結びつけて本を贈るという風習を広めた、ということです。私はバラでも良かったんですが。

「日本では〜1986年に定めた」とあるのでもう30年以上経っているのですね。それなのに、この知名度の無さは(チョコレート業界のバレンタインデーに比べての)出版業界の努力不足と本を贈ることの難しさと言えるかもしれませんね。

明るい出版業界のために、まずは行動をしなくてはいけませんね。
今年は甥っ子に絵本でもプレゼントしてみようと思います。

追伸:
以前、日誌で「ペペロデー」について書いたことを思い出しました。自分が記念日好きであることがわかってきました。



2010.4.21(水)

重版で思うこと

春は電車もさることながら、昼食時のごはんやさんがいつもよりさらに混んでいて、ゆっくり食べる時間がまるでありません。それも、春らしさ、のひとつと言えるかもしれません。

春は教科書採用にそなえて、多くの教科書を重版します。 今春は、重版を森脇とともに担当することとなり、教科書とともに、いま品切れの研究書(ひつじのベストセラーたち)を重版しています。

古いものだとフィルムから印刷することになります。印刷所から昔のフィルムの束をひっぱりだしてきてもらい、修正も、すべて切り貼りで修正します。そのフィルムが印刷のための「はんこ」になります。デジタルになれてしまっているので、アナログのやりかたにとまどうこともありますが、印刷の歴史をたどるようで興味深くもあります。
データを修正することの簡単さを痛感するのと同時に、データで印刷用のはんこを管理できるようになったというのも大きな変化でしょう。
出版業はつくっているときにも(原稿ゲラ、さらに活版時代には活字や紙型)、できるもの(書籍)も「もの」を大量にうみだすわけで、その中に書かれていることばは非常に中間的なものかもしれませんが、非常に場所をとってしまうわけです。だから、いろいろと問題があったわけで、そのいろいろな問題を解決しようと努力し、出版社はデジタル、というものを時代とともにうまくとりいれてきたのだと感じます。

必要以上に大変にするのはよくないことですが、やはり、この大変さが編集者を慎重にさせ、1冊の本の重みにもつながっていたのではないか、と思います。

出版=版を出す、ひとつのはんこから、ある数の複製をつくることと言えると思います。
版画は、1枚刷ると、何枚刷った内の何枚目、ということをしるして、サインをします。
出版する、ということは、世の中に、このことばの複製をどれくらいゆきとどかせるか、ということをデザインすることでもあります。ウェブ上のpdfにその考えはないでしょう。

そして、それは電子出版どうする? どうなる?、という問題につながるのかもしれません。



2010.4.15(木)

4月になれば電車は

この時期には毎年思うのですが、4月になると朝の通勤ラッシュに拍車が掛かるように感じます。
新しい職場や学校に向かう人たちが増えるからでしょうか。
これが5月連休明けくらいになると、少し落ち着くのが例年の傾向のようです。
通勤通学に慣れてきて、皆が自然と時間や車両をずらすようになるからでしょう。

いかにも社会人1年目、といったいでたちの方も見かけます。
同じスーツの筈なのに、なぜか「1年目!」と分かるのは不思議なものです。
知らないところで私もそう思われているのかもしれませんが……。
早く一人前の仕事のできる社会人になりたいものです。
がんばります。



2010.4.8(木)

画面上の探索者

先日からパソコンの調子が悪く、一度別のパソコンに引っ越すことになりました。
様々なデータのバックアップをとったのですが、我ながらその乱雑さにあきれることになりました。
よく使うものは比較的わかりやすい場所にあるのですが、一度使っただけで一応とっておいたデータなど、「ここに入れたのか」と驚くこともしばしばです。

なんでも、勤め人は平均1日50分を探し物に費やしているのだとか。
確かに、書類はもちろん、古いデータが大量にあると探すもの大変です。
パソコンを仕事で使うことが当然の時代になって、探し物に費やす平均時間も増えたのではないでしょうか。

画面上の探索者(あるいは迷子)にならぬよう、日頃より整理整頓を心がけようと思います。



2010.4.6(火)

発想

発想力が豊かになるのは、
何気ないことをしているときが
最も多いそうです。

顔を洗っているとき、
信号待ちをしているとき、
掃除をしているとき、などは
ほどよく脳がリラックスしていて
ふと、いい考えが浮かんできます。

ところがそういうときは、ほとんどの場合
メモをとれない状況であったりします。
どんな人も一度は経験したことがあると思います。
そのアイデアを思い出せるかどうかが個人差なのでしょうが
一度忘れた記憶を取り戻すのは大変です。

傘をどこに置いてきたかわからなかったり
顔見知りの名前が出てこなかったり
冷蔵庫の前でフリーズしたり
メモをとれない時こそ、
記憶は儚くなります。

というのもこの話題に至ったのは、
昨日の帰り道でひらめいた日誌のネタを
思い出せなかったからなのです。



2010.4.1(木)

桜の樹の下では

昨日、ひつじ書房ではお花見を行いました。
場所は会社近くの公園。お付き合いのある方や印刷会社の方々をお呼びして、総勢20名以上の大所帯となりました。
参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

桜の樹は、昼と夜とでだいぶ印象が違います。光の当たり方もあると思いますが、夜になると昼には無かった影が花の間に生まれて、独特のすごみがあります。
梶井基次郎の小説に「桜の樹の下には」という短編がありますが、夜の桜を見るとその下に死体を夢想したくなるのも分かる気がします。

お花見シーズンまっただ中です。
今日もどこかの桜の樹の下では、お花見が開かれていることと思います。
お酒とお料理とおしゃべりに気をとられて、肝心の花を忘れてたなんてことにならないようにお気をつけ下さい。
この時期だけの、お楽しみです!



HOMEへ

過去の日誌

3月の日誌

スタッフ紹介