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10月

2009.10.15(木)

はげみ

ここしばらく日誌を書いていなかったせいか、トピックスが色々とあります。 特に、今後の本づくりへの励みになりそうな事がありました。


小林敏さんの組版講習を受けました。
(小林さんは、編集者をそだてるエディタースクールで指導経験のある、 組版のスペシャリストの方です。)
文字組について、まだまだ知らないことの多い私ですが、実に奥が深く面白い世界です。美しく組むということについて、何に気をつけるべきか、何をしてはいけないのか、また、知っておくべき事など色々なことを教えていただきました。
編集者なら漢字にも詳しくなくてはならない、という言葉は身にしみます。 旧字体と新しい字体の入れ替わりが起きたりと、歴史的にも本当に複雑なのだとうかがいました。
細かい違いに目を向けることが非常に大切な仕事だからこそ、「○○と○△は似ているけれど、こういう背景や歴史があるから違う」といった知識も増やしていきたいと思います。


「リフレクティブな英語教育をめざしてー教師の語りが拓く授業研究」が ついに刊行されました!
また、関西英語教育学会セミナーの内容がこの書籍と密接にリンクしていたこともあり、出展参加させていただきました。
編著者の先生方をはじめ、多くの方にお会いし、書籍を手にとっていただくことができました。
著者の先生にお会いできたり、できたての本を皆様に見ていただけたりするのは、なんとも嬉しいものです。
現役の中学校・高校教師の先生方ともお会いでき、他の学会にはなかなかない、貴重な経験もさせていただきました。

今月末にも、新刊が出来てきます。「日本語のモダリティとその周辺」です。
文法学会でおひろめの予定ですが、今からとても楽しみにしています。



2009.10.7(水)

システマティックに組むということ

先週、小林敏さんの組版講習会がありました。
くわしくは森脇の日記をごらんいただきたいのですが、約物の基本的なアキ量について、組版ソフトで文字を組むということ、など、細部にわたって実に様々なことを教えていただきました。
また、デジタル上で文字情報をやりとりすることを、普段あたりまえにやっていますが、そのこと自体、複雑な計算の上でなりたっていて、ときに文字化けしたり、パソコンがコードをよめずにファイルをひらけなかったりすることを、編集者としてただしく理解していなければならない、と痛感しました。

スタイルシートをあててシステマティックに組む、ということもおもしろいトピックでした。
ウェブでは普通のことではありますが、紙媒体でもシステマティックに組むことがスタンダードとなってくる時代はやってくるのでしょうか。システマティックに組み、かつ美しく組むことはひとつの課題であると思います。そして、非常に興味深いです。

森脇の書いている「プロとしての自覚」の欠如は、大げさかもしれませんが、出版産業の衰退を招くきっかけとなりうると思います。
プロフェッショナルになることは並大抵のことではありませんが、よい本をつくりつづけていくために、必要不可欠の知識の一端を教えていただきました。小林さん、ほんとうにありがとうございました。


追伸 祝!『「大学生」になるための日本語1』できあがりました!



2009.10.5(月)

組版講習会

先日、エディタースクールで教鞭を執られ、「編集必携」や「校正必携」にも関わられたという小林敏さんにお越しいただき、ひつじ書房内にて組版についての講習会を開きました。1日かけてのみっちりとした講習会でした。

講習では、原稿データの文字コードの違いや(JIS、Unicodeなど)、データの検索置き換えの一歩すすんだ使い方(検索ができるのは文字だけではない)、組版における基本的なルール、とくに約物についてなど、一日では到底収まりきらない分量を圧縮して要点をお話し頂きました。

組版自体のお話しは数年前にも一度小林さんにお話しいただいて勉強していましたが今回は一段と深い話になっており、さらに今回興味深かったことは、WindowsがVistaになったときに少し話題になりましたが、漢字の字体と文字コードの関係の話です。漢字についてはずっと同じものが使われているわけではなく、折々で見直され、規格が作られています。国により新しい規格が発表され、メーカーがそれに対応すると、これまでの規格との整合性がとれなくなってしまいます。それがまさにVistaが発売された当時問題になり話題になったのでした。漢字の字体について詳しい人、文字コードについて詳しい人、というのは居ますが、データとして運用していくためにはその両方についてきちんと知って置かなければいけないとのこと。下手をすれば、著者から来たデータの漢字がこちらでデータを開いたら同じ漢字でも違う字体になってしまったりするのです。その時に混乱しないで、その原因をさっと突き止められるかどうか、決して精通していなくても原因が分かれば対処ができます。

以上はほんの一例ですが(本当はこの何十倍も詳しく解説されています)、そうした密度の濃い勉強の時間を過ごしたのでした。一見すると楽しそうに見えるかも知れませんが、これらのひとつひとつの知識は非常に地味なもので、一般に何気なく本を読んでいる読者からすれば、数々の知恵と工夫によって本が作られているということなど気付かれないものです。むしろ気付かれることなく、すらすらと読んでいただくのが一番いいのかもしれません。表には見えづらい、様々な出版業の仕事、まだまだたくさんあります。プロとしての自覚のみが、出版の世界を支える礎となるものなのだと、最近感じ始めています。それはきっとどの職業でも同じなのでしょう。




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