ひつじ書房がはじめて映画撮影に協力しました

2014年9月24日(水)

ひつじ書房がはじめて映画撮影に協力しました

以下、ひつじメール通信に載せました内容と同じものです。

「舞妓はレディ」という映画が上演中です。監督は、「Shall we dance?」で有名な周防正行監督で、鹿児島弁と津軽弁のネイティブの女の子が、京都で舞妓になろうと入門をお願いするが、断られてしまい、その場に居合わせた長谷川博己が演じる若い言語学者、京野法嗣が、京都弁を仕込むということで、入門を許され、厳しく、苦しい修業の末、晴れて舞妓になるという話しです。「マイフェアレディ」の筋をパクって、上流階級の英語ということではなくて、京都の花街ことばをマスターするという話しです。

この映画のことを何で書いているかというと、ひつじ書房がこの映画に協力しているからです。美術協力ということになっています。エンドロールに、ひつじ書房のロゴががでてきます。何をしたかというと長谷川博己演じる言語学者の研究室に置かれている蔵書の中の一部をお貸ししているのです。机の上に積み上げられた書籍の一部にあります。『東京弁は生きていた』や言語編も旧言語編と新しい言語編の両方が出ていました。実は、返品をお貸ししました。読んだはずの本がまっさらでは、かっこがつかないですから。もちろん、きちんと返していただきました。

私は、個人的に端唄をならっているということもあって、三味線と唄に関心がありますので、なおさら、面白く拝見しました。主人公の春子が、舞妓に晴れてなるという時にお披露目するのに踊る曲は、「梅は咲いたか」という端唄の定番の曲です。この曲は京都以外でも唄われる曲で、東京界隈だと3番目の歌詞が「柳橋から小舟を走らせて〜」となります。映画では、2番目までやっていました。「梅は咲いたか」は、いろいろ解釈はありますが、未熟だったものが、育って開花する、ということが趣旨ですので、今回の映画の内容に丁度合っている唄だったように思います。京都の舞妓さんということで、京都優先だと「京の四季」などの方が、舞妓さんの踊る曲としては合っていると思うのですが、あるいは舞妓になる時には「梅は咲いたか」を踊るという決まりがあるのでしょうか。舞妓が芸妓になるときは、長唄の「黒髪」を踊るという決まりがあると映画のパンフレットには書かれていました。実際に、先輩舞妓の百春役の田畑智子が踊ります。ちなみに田畑智子の実家は京都の有名な料亭だということです。

ミュージカルということなので、いろいろ踊ったり、唄ったりします。歌い出すと画像の質もかわるような気がしますのが、不思議です。主人公の春子をやっている上白石萌音の唄と踊りがなかなかすばらしいと評判です。花街、という世界でのファンタジーということでしょうか。昨年は、石原さとみが、映画「マイフェアレディ」のもとになった「ピグマリオン」という芝居に花売り娘のイライザ役で出ていました。その石原さとみが、今は、英語学校イーオンの広告にでているのが、興味深いです。ピグマリオンは、マイフェレディとは結末が違っています。イライザは最後、ヒギンズ教授と闘います。「舞妓はレディ」は、京野法嗣と闘うのでしょうか、それとも、ハッピーエンドになるのでしょうか。監督の対談での発言によれば、少女に教えたのは、言語学者京野一人ではなくて、花街そのものだということですので、だとしたら、舞妓と花街との関わりが、ハッピーエンドになるのか、闘いになるのが、興味深いです。

ひつじ書房がはじめて映画撮影に協力しました。もし、興味をもたれましたら、ぜひ、ご覧下さい。

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