LaTeXで執筆された場合の入稿用のデータについて

2014年7月17日(木)

LaTeXで執筆された場合の入稿用のデータについて

けっして、LaTeXでの執筆をお断りしたいと思っているというわけではありませんが、いくつかの問題を知っていただきたいと思っています。この文章は、メール通信でお送りしたものとほぼ同じものです。

ひつじ書房は、PDFを入稿用のデータとしては、認めていません。LaTeXの素のファイルも認めていません。Wordか一太郎、あるいはテキストファイルでの入稿をお願いしています。

LaTeXの素のデータは、文字のテキストに見出しであるとか、注であるとか、文字の書体の設定が、ホームページのページを記述するhtmlタグのように、タグ付けされています。そのタグ付きのデータは、印刷所の組版機にそのまま入れることができません。タグをとりませんと組版用のデータが作れません。

素のデータから、タグを抜く作業をだれがするかです。これは手作業になります。かなり慎重に行う必要があります。本文の内容とタグが分からないと難しいと思います。また、注などは、LaTeXの設定で自動的に振っていますので、注番号の文字列はないでしょう。数字を補っていく作業が必要です。印刷所でもLaTeXのプログラムが分かっていて、作業が丁寧な人がやれば、できないことではないのですが、それには通常の場合よりも余分なコストがかかります。LaTeXのプログラムを分かっている人が作業を行う必要があると印刷所の新人に近い人などでは取り扱えませんので、ベテランが取り扱うことになり、結果コストが大きくなってしまうのです。基本的に印刷に使えるデータまでを執筆時に作成して下さるようにお願いしていますので、LaTeXの方だけを優遇することは難しいです。印刷所の人件費をかけてもいいわけですが、研究書も通常以上のコストはかけられない時代です。値段を高くしては売れませんので。

タグ抜きをするソフトはあるようですが、完璧ではないようです。タグ抜きソフトをお使いになった場合は、テキストが抜けていないかを確認していただき、抜けていれば入力して、きちんと論文に含まれている文字は過不足なくしていただくことをお願いしたいです。お手数ですが、実際にその論文の著者がやっていただくのが合理的なのではないでしょうか。

タグを手で抜くのは面倒だという場合は、PDFからコピーしてテキストを抜き出すという方法もあります。その場合も、コピーしたテキストに脱落がないか、余分なものがないかを十分に確認して下さい。PDFは、「印刷体裁の文字列」ですので、文章や段落という考えがありません。毎行ごとに行末に改行が入っていたり、英文の場合なら行末の単語の後にスペースがなかったり、場合によってはボックスが作られていて、その中にテキストが入っている場合、全体選択でコピーしても選択されないこともあります。かならず、抜き出したテキストが執筆された論文と同じかどうかを確認して下さい。PDFを元データに変換するソフトがありますが、LaTeXで執筆したものをワードにするということをした場合、もともと執筆の際に使ったソフトでもありませんので、完全に復元してくれると期待するのは、過大な期待です。かならず、きちんとした文字確認が必要です。

LaTeXで書かれた場合は、どうするかですが、LaTeXで書かれた方は、LaTeXで打ち出された紙の原稿とタグを抜いたテキストファイルをご提出下さい。ソフトで変換してWordファイルにした打ち出し原稿をLaTexの代わりにするということは、重大な問題です。本来でない原稿と本来ではないデータでは、変換の際に抜けがあっても、照合して校正することができません。いつも申し上げていますが、必ず、執筆者自身が目で確認した執筆原稿をご提出下さい。

なお、LaTeXで執筆されたものを、LaTeXで出版したいと思われた場合ですが、この場合、編集者が改稿の依頼を行った場合や校正して訂正が見つかった場合に、その訂正を誰がするかということで、もし、執筆者が行って下さるのであれば、コストはかからないわけですが、執筆された方はたいへんですし、もし、印刷所で訂正を行う場合、その印刷所のトップのベテラン作業者が担当することになります。人件費がたくさんかかりまして、コストを押し上げます。

けっして、LaTeXでの執筆をお断りしたいと思っているというわけではありません。しかしながら、データと原稿は責任をもってお出しいただくということは、必要になってきます。よろしくお願いします。

----------

執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



「本の出し方」「学術書の刊行の仕方」「研究書」スタッフ募集について日誌の目次番外編 ホットケーキ巡礼の旅

日誌の目次へ
ホームページに戻る

ご意見、ご感想をお寄せ下さい。
房主
i-matumoto@hituzi.co.jp