ひつじ書房 2009年の新春合宿

2009年1月11日(日)

ひつじ書房 2009年の新春合宿

2009年の新春合宿を行いました。これは毎年恒例として、春と夏に1泊して、ひつじ書房の仕事のこと業務的なこと、編集の流れなどについて、日頃の日常的なせわしさをはなれて、時間を多くとって話し合うために行っているものです。

企業として合宿を行うというのは珍しいことかも知れません。元々はせんだい・みやぎNPOセンターの加藤哲夫さんが、NPOの運営をしている中で、実務を行う事務局と理念を立てる理事会がわのコミュニケーションが取れなくなることがあって、それを何とかするために合宿を行っているということを聞いてはじめたものです。通算では13回目ということになります。

今回の場所は、葛西臨海公園の中のホテルシーサイド江戸川で、アクセスは遠くなく、便利。客室が広く、大浴場も大きくのんびり入れるのが、会議用にはよい場所。ただ、難点はせっかく特別コースを頼んだのに、出てきたフランスパンが、朝食のバイキングの残りで、乾燥していたのが、残念。後からの反省だが、日誌に書くんじゃなくて、こういうことはシェフを呼んでクレームを付けるべきでした。クレームをつけると不愉快になっていやなことになる危険があるわけですが、クレームを付けても気分を切り替えることができるくらいの力量が必要なわけです。ホテルの支配人を呼ぶなんてといったら、まがりなりにも社長なのだから、そのくらいのことができなければ、ダメだとの専務の言い分。おっしゃる通りです。修業します。

さて、今回のテーマの一つが、「ひつじ書房のミッション」をみんなで考えることでした。私が先月提案した原案に意見を言ってもらい、その意見を反映したものが次のものです。もう少し変えていきます。

ひつじ書房のミッション(案)

ひつじ書房の存在理由は、主に言語学の学術書をだすこと。ひいてはことばに関わる人文書を刊行すること。言語学以外の分野として具体的には、文学研究書、談話分析、言語教育、言語政策、学術政策。

新村出賞を4年連続で受賞するなど、言語学の研究書の出版社としてNo.1の地位にいる。研究者からの期待に応えつつ、水準を維持するとともに今後一層充実させていく。

研究者とくに若手研究者を支援する。これは題目や気持ちだけではなく、出版社として支援する若い研究者が学術書を出そうとした時に実質的に支援でき、さらに共に歩んでいく仕組みを作りつづけること。現状でほぼ作ることができていると思うが、さらにそれらをよりよいものにしていく。

小さな企業である。出版業界の常識にとらわれず、頭と身体をフル回転して、新しい出版社を作ることに挑戦する。

21世紀の学問市場の中でたえず再検証の気持ちを忘れずに、かつ学術の公共性を信じて、市場を開発すること。学術出版の困難な状況の中で、助成金を取ってくることを含めて採算を取る知恵と実行力を持つ。

批評家ではなくて、本を作って売っていくことを我がことと感じ、プロ・実務家として研鑽し、新しいアプリケーション、ITを使いこなしつつ。スキル、能力を向上していく。

簡単にあきらめないようなしつこさと苦境の中でもポジティブにネアカに発想しよう。下区術書を作ることの充実感と楽しさをもって見た目派手であるとかということではなく、学術書としてセンスのいい学術書を作る。

子育てができる環境。持続可能な環境。一代限りで終わらない環境を作る。


観覧車から見た富士山

それ以外の議題としては、専務からの増収増益の報告、新人を新人として育ててきたわけですが、その評価と反省、これから、ということ。編集や営業についての今後の課題、それぞれの役割の確認など。ひつじ新聞にも書いたように今年上半期に刊行する書籍の数は並大抵ではありません。50冊以上。2月には科研費の援助をもらって刊行する8冊を刊行しなければならない。スケジュールが非常にタイトで、当然、仕事量も多くなる。印刷所製本所へ予定を伝えて、予定に入れておいてもらわなければならない。科研費の書籍のうち7冊を森脇、1冊を板東が担当しています。どう乗り切るかを考えるということが、今回の合宿のもっとも大きなテーマでした。

今回の成果は、前回の合宿と共にひつじ書房の筋道について考えて会議ができたことでしょう。会議と言いながら、私が考えたことを話して、聞くということに留まってしまっていた段階を越えて、わがごととしてのmeetingになったと感じています。まともな会議であり、開催して意味のある会議。これは前回からのあたらしい局面であり、やっと会社としての組織体らしくなってきたと思います。これまでそういうことができていなくて、20年近くなってやっとということです。ここまで来るのにどれだけの時間と手数が必要であったことか。三井さんと森脇君に感謝します。これからは、新人たちも新人の段階を踏み越えて、社員として支えてくれることを期待しています。

ひつじ書房のこれから5年間の大まかな図。2010年の企画をきちんと刊行するとともに、それらを土台としてさらに充実した学術出版社になります。その見取り図を掲示します。


執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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