新しい会計年度を迎えて

2008年9月20日(土)

新しい会計年度を迎えて

4月から、半年が過ぎて、10月になりました。ひつじ書房の会計年度が新たに20期に突入いたしますし、3月から来てくれている新人の2人は、社員となりました。2人とも一人前には遠く、まだまだ見習いですけれども。この半年は、とても大きなものだった、と思います。

10月というのは新年度になって半年が過ぎ、秋を迎えるわけですが、ひつじ書房は、一年間で一番多忙な時期に突入します。ここ数年のことですが、日本学術振興会の研究成果公開促進費の申請のお手伝い(ことしも40件近いのではないでしょうか)と学会に参加して本を売ることと来年の2月に刊行する研究書の印刷所への入稿の3つが並行して走りはじめまして、たいへん多忙な時期に突入しつつあります。

社員になった2人を後から追いかけている第三の新人もさらに見習い中ですが、3人ともあまり急いで育てたくはないので、できるだけ、最初のところはできるかぎりゆっくり仕事を見ていけるよう、私と森脇で多くを割り付けて入稿しています。さらに、現在の編集部では人間パワーがたりないであろうということは目に見えていましたので、スーパーパートのMさん、W大4年で来年から公務員になるSくん、近くの大学で日本語学を専攻している修士過程在学中のFさん、それと心理学で修士号を持っているOさんというフルタイム以外のスタッフにも編集プロセス(基本的に校正・校閲)を手伝ってもらっう体制にしています。こんなに大勢で本を作るのは初めてです!

今年の本作りには、これだけ大勢のスタッフが必要と予想して、お願いして来てもらっています。そうでなければ、とてものことではあありませんが、今年の本は作りきれないでしょう。私も割付職人になって、ひたすら割付をしています。

いろいろと刊行が遅れていることもあって、ご迷惑をお掛けしていることは重々分かっており、申し訳ないと思っていますが、手をこまねいているわけではなくて、それなりの人間パワーを導入しています。そのようにして、一つ一つ作っています。たぶん、編集担当の社員はもう一人必要で、さらにはその後にはもう一人三井を手伝って、ともに営業・マーケティングしてくれる人材が必要でしょう。あと2人というのは、現在のひつじの規模では難しく、売上げ的にももう20パーセントくらいは売上げが伸びないときついところだと思います。この9月までの売上げが、昨年よりも増えて、たぶん、1億と500万円くらいでしょう。1億3000万円くらいの規模になることができれば、それも可能でしょう。しかし、また、人手が足りず、人を増やすことを考えて、さらに仕事をこなして、というのは研究書が人海戦術的なビジネスだからでしょう。手間が掛かる仕事だからでしょう。大きく売れて、重版の部数が大きい書籍を何冊か持たないと本当はキツイです。

今の時代、学術出版の規模を拡大することは可能でしょうか。電子化の波があり、書籍の意味は失われつつあるかのようにも見えます。一方、これまで学術出版が存在できなかったジャンルが、動いています。たとえば、英語教育というジャンルはどうなのでしょう。これまで、学術出版のマーケットは無いに等しかったのではないでしょうか。研究社さんも大修館書店さんも、現場の先生方向けのガイド的なものは出していましたが、言語教育としての書籍は出していなかったと思います。しかし、言語研究という知が共有化される必要があるのなら、その分野の担当者が一人いてもいいかもしれないですし、1人か2人の編集者が食べていくことのできる場所はあるのかもしれないとも思います。

とすると研究書の市場はこれから作られるのかも知れません。そんな場所をひつじが作りましょう。実際に、言語教育、言語学の分野で研究書をきちんと出そうという出版社はないといってもいいではないでしょうか。社会言語科学会と認知言語学会でも、出店場所に来ている編集者は、ひつじ書房しかいませんでしたから。くろしおさんもいなかったし。

ひつじ書房、目指せ、日本のケンブリッジといったところです。新しい期を迎えて、いささか傲慢な発言をいたしました。疲労によるトリップです。失礼の段、お許し下さい。


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