【出版】2007年に担当した書籍

2007年12月28日(金)

【出版】2007年に担当した書籍

社員が今年担当した本を書いていますので、私も担当したものを書くことにします。(社員が担当した本については12月のスタッフ日誌をご覧下さい。)最初から、最終的な本の段階まで私が関わりました書籍は7冊になります。社員が8冊以上みんな作っているのにということを考えるとさぼり気味であったのかもしれません。また、社長業の他の仕事が立て込んできますと進めるのが、滞ってしまいます。先生方には申し訳ないかぎりです。すみません。一方、わたしが手を出さなくても、本がきちんとできるようになったということは、ひつじ書房は進化しているということだと思います。とてもありがたいことです。

年明けには、『ことばの宇宙への旅立ち』を刊行します。これは財団法人ラボ教育センターの発行ということになりますが、編集的には私が中心になって進めているものです。締め切りがあるのでなかなか、たいへんです。

全ての本が印象深かったのですが、あえて2冊を上げてみます。7冊の中でも『芸能の〈伝承現場〉論』が、まず筆頭にきます。著者の大石さんとはひつじ書房を立ち上げた1990年の1月からのお付き合いで、もう18年になります。橋本裕之さんが主催していた第一民俗芸能学会の場所でお目にかかり、その会の時から本をまとめようとお願いしてきました。この意味では16年越しの本が実ったということになります。ひつじにとっては毛色の変わった本ですので、どうしても後回しになりがちな危険性があったのですが、ツボを押さえた状況の確認の電話という心憎い催促を下さり、どうしても優先してしまいまして、おかげで刊行予定からあまり遅れずに刊行することができました。

編集者であるわたしがペースメイカーになるべきところ、著者自らの支えによってできたというわけです。そのおかげできちんと刊行できたといえるでしょう。案外、その適切なサイソクというものは正直、重要な場合があるのです。あまりしつこくなく(勝手を言ってスイマセン)、優しいけれども、ツボを心得た連絡はありがたいものです。これは、こちらが先生方に原稿を催促する場合も同じことですね。反省しております。勉強になりました。本書は日経新聞の書評欄に取り上げられました。

もう1冊は『日本語の構造変化と文法化』です。若手の日本語史の研究者の論集です。もともとは発表が元になっているのですが、かれらの研究発表を聞いて、以前は日本語史の研究は、説明的な語史的な研究が多く、言語学のセンスあるものはあまりなかったが、言語学と日本語史の研究が融合しつつあるという意味で第2世代の研究が生まれていることを実感したというような内容のことをおっしゃっている方がいらっしゃったのですが、そのような新しい世代の新しい研究の研究書を出せたことは幸いなことです。国語学という名称であった時代の言語研究が、日本語学という呼び名に変わりましたが、かつての国語研究と言語研究のアウフヘーベンができるのか、語彙研究、音声・音韻研究、日本語学のこれからのモデルになる書籍だと思います。

ひつじ研究叢書(言語編)第53巻
●主語と動詞の諸相

二枝美津子 著

学びのエクササイズ
●ことばの科学

加藤重広著

ベーシック英語史
●家入葉子著

●LANGUAGE IN PAPUA NEW GUINEA
岡村徹 著

未発選書13
「女ことば」はつくられる
中村桃子著

未発選書 14
芸能の〈伝承現場〉論―若者たちの民俗的学びの共同体
大石泰夫著

ひつじ研究叢書(言語編)第55巻
日本語の構造変化と文法化
青木博史 編著

先に申し上げた『ことばの宇宙への旅立ち』を含め、3月までに刊行する本は、5冊あります。『論文の書き方・研究の進め方マニュアル(仮)』と『ウィドーソン記念論集(仮)』と『問題で学ぶ生成文法』と『学びのエクササイズ 日本語文法』があります。その他には社員の科研本の編集のサポートに回ります。学振の出版助成金の本は、2月の半ばには刊行しなければなりませんので、年明けましたら、全勢力を傾けなければなりませんので。

今年刊行した本は、どれも力作ぞろいです。自信をもってお進めできるものです。どうぞ、お求め下さいましたら、幸いです。


執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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