【学術・出版】2007年春の日本語学会

2007年5月28日(月)

【学術・出版】2007年春の日本語学会

2007年春の日本語学会が、関西大学で開催されました。天候に恵まれ、会場からは窓の外に新緑の木々が見え、とても気持ちの良いキャンパスでした。



土曜日はシンポジウム。今回は、4人で出かけましたので、他のスタッフに任せて、社長であるわたしは、久しぶりにシンポジウムに参加しました。テーマは「日本語の20世紀」とのことで、内容も面白いものだったと思います。

パネラーの方々の発表はどれも面白かったのですが、トップバッターの清水康行さんの話しが面白く、とりわけ考えさせられる内容だったと思います。国語学ということばで、人々がイメージする内容は多岐にわたるわけですが、実際に国語学者、国語学会が関わったのは、ある一部にすぎません。研究されたり、議論される可能性があったのに、議論されなかったこととして、国語学研究自体がもっている思想・社会的な意味(これは問題的がされたのに、受けての議論がなかったということ)、国語政策(戦後1950年代までにはあったのに、その後、なくなってしまった)、国語教育に関するものなどがあるという指摘は面白いと思いました。

これは受けての私の感想ですが、言語研究としても、習得研究というものはないに等しいし、読解や読みや解釈というものに対する研究もないですし、口頭表現研究についてもありません。メディアとことばに関するモノもない。

言語研究としてあってもよいはずのものが、ないということについて、どう考えたらよいのだろう。教育との関わりなどはもう少しあってもよかったのではないかと思う。それはこれから、生み出されていくべきだと考えた方がよいのだろうか?あるいは、応用日本語学のような別のジャンルであると考えるなら、多くの部分は、社会言語科学会や日本語教育学会など、別の学会で議論されるものであるのかもしれない。そういう考えもありますし、日本語学会が意識せずに自分自身を自前のものと考えすぎるなら、研究が小さくなってしまう危険性もあるのではないかと危惧する考えもあり得ると思いました。絞りすぎてもじり貧になる危険性があるでしょう。

売上げは、おかげさまで昨年よりも多いものでした。ことしの新刊の数からするともっともっと売れてくれないと困るのですが、あまり欲張りすぎても行けないでしょう。場所がかならずしもよい場所であったわけではないのですが、展示場まで来ていただいたことに心より感謝申し上げます。石井正彦先生の『現代日本語の複合語形成論』、日高水穂先生の『授与動詞の対照方言学的研究』、副島健作先生の『日本語のアスペクト体系の研究』、宮地朝子先生の『日本語助詞シカに関わる構文構造史的研究』、二枝美津子先生の『主語と動詞の諸相』の売れ行きがよかったようです。ありがとうございました。


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