研究成果公開促進費・出版助成金の採択を受けて出版へのオリエンテーション 2006年5月7日(日)
2006年5月7日(日)

研究成果公開促進費・出版助成金の採択を受けて出版へのオリエンテーション

ひつじ書房は、研究成果公開促進費・出版助成金の採択を受けた方向けに、出版のためのオリエンテーションを行いました。

前回の日誌でお伝えしたようにひつじ書房は、研究成果公開促進費の申請をした結果、今年採択13件がされた。今の時点では正確には内定であるが、基本的に問題なく進められるだろう。そのことを受けて、ひつじ書房では、現在、研究成果公開促進費の採択の連絡を受けた方に事務所にお越しいただいて、オリエンテーションを行っている。今年採択された方13名の方に順次ご都合のよいときに来ていただいて、採択を受けて提出する書類についての説明と今後の出版へのスケジュールや完成原稿をどうやってお渡ししていただくのか、校正に慣れていない方には校正の原則のようなものをお伝えしている。

日本学術振興会の要綱ではわかりにくいところや実際のかんどころをお伝えして、これから、実際に出版に向けて進んでいくについての概要をお伝えしている。今年は採択数が多いので、できるだけスムーズに気持ちよく進んでいけるようにと思っている。完成原稿の脱稿に向けてご参考のために執筆要項をお渡ししたり、注意点をお伝えしている。

都内の方であればともかく、九州や沖縄から、遠方からわざわざお寄りいただくこともあり、たいへん心苦しくもあるが、この時期にこれからのことをきちんとお話しすることは、これから進めていくことに意味のあることだと思う。若い研究者の方、研究書を出されるのは初めての方もいらっしゃる。本を作るスケジュールや校正の方法などについてできるかぎり丁寧にご説明したほうがよいだろう。執筆要項や原稿の渡し方についても一通りお伝えする。もちろん、ご存じのことも少なくないと思う。十分にすでにご存じであることも多いだろう。しかし、雑誌論文を何回も書いていらっしゃるのに基本的な校正のやり方をご存じないこともまれにではあるがある。意外にうまく伝わっていないこともあるというのも実感である。また、われわれは出版社として編集・出版というものを毎年毎月毎日行っている。経験もノウハウもあるわけなので、知っている限りのサポートを行いたいと思っています。(かつては、メールだけで一度も会わないで出版することをネット社会の新しい人間関係のようによいことであるかのようにいうこともあったが、それは思い違いであった。)煩雑であるかもしれないが、お付き合いいただきたい。このことは今後本を執筆される時にも役に立つことになるはずだ。

たぶん、ここまで丁寧に先生方とおつきあいしている学術出版社はないと思う。ひつじとしても、ここ数年でだんだんとやりかたを整備してきた。ほんの数年前まではここまではやっていなかった。(かつてひつじで本を出された方、すみません。)きちんと刊行するために事前にできることはなるべくやっておきたい。これから、執筆された先生方とは1年間じっくりと丁寧におつきあいしていく、申請時とさらにもう一段階踏み込んだおつきあいをさせていただくことになる。そのことをうれしく思うとともに、緊張している。

今回、1年間いっしょにおつきあいいただきながら進めていく研究成果公開促進費の助成を受けることになったのは次のものである。

  1. 日本語のアスペクト体系の研究 副島健作著 4-89476-322-2 8715円
  2. 九州西部方言動詞テ形における形態音韻現象の研究 有元光彦著 4-89476-323-0 10500円
  3. 日本語の空間表現と移動表現の概念意味論的研究 上野誠司著 4-89476-326-5 8925円
  4. 日本語助詞シカに関わる構文構造史的研究 宮地朝子著 4-89476-320-6 7140円
  5. 授与動詞の対照方言学的研究 日高水穂著 4-89476-321-4 7770円
  6. 現代日本語の複合語形成論 石井正彦著 4-89476-324-9 8820円
  7. 日本語随筆テクストの諸相 高崎みどり・新屋映子・立川和美著 4-89476-327-3 7140円
  8. 発話者の言語ストラテジーとしてのネゴシエーション(切りぬける・交渉・談判・掛け合い)行為の研究 クレア マリィ著 4-89476-325-7 7140円
  9. 母語を活用した内容重視の教科学習支援方法の構築に向けて 清田淳子著 4-89476-328-1 8715円
  10. Communicating Skills of Intention 坂本勉 編著 4-89476-329-X 12600円
  11. A Pragmatic Approach to the Generation and Gender Gap in Japanese Politeness Strategies 鈴木利彦著 4-89476-330-3 10290円
  12. Japanese women's listening behavior in face-to-face conversation 宮崎幸江著 4-89476-331-1 12600円
  13. A Conceptual Modeling Approach to Design of Catalogs and Cataloging Rules 谷口祥一著 4-89476-332-X 17850円


執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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