2005年6月3日(金)
2005年6月3日(金)

Google Printは、出版社にとっては諸刃の刃?

http://print.google.com/

GoogleがGoogle Printのサービスを開始した。ベター版であるが、なかなかすごいサービスといっていい。読者として本を探したいと思ったときにはとても素晴らしいサービスにちがいない。しかし、一方、Google Printは、出版社にとっては諸刃の刃かもしれない。検索して、本文を見ることが出来てしまう、ということは大きなことだ。読者である研究者の方も、じっくり読む方と、参考文献にあげるためだけに、一部分だけ読む方といらっしゃるが、後者の方の場合は、Google Printだけですんでしまうかもしれない。そうなると当然、本は売れなくなるわけだ。前者のタイプだと、むしろ現物を読んでみようと言うきっかけを提供することになるから、むしろ、本は売れていくと言うことになる。前者の方へのサービスをより重要と考えれば、Google Printのようなサービスは充実していくべきものと考えるべきだ。

アートマネジメントの本を先日読んでいたら、美術館の使命はパーフェクトパトロンを育てることだということが書かれていた。数年に一回、美術館を訪れる人の中から、美術館へのファンを少しずつ育てていき、鑑賞者から、支持者へ育てていき、最終的にはパトロンと呼びうるような存在へ持ち上げていくということだとのこと。

検索してすませていくような読者が存在することが問題ではなく、淡泊な読者をどうやって熱心な本の読者にどう育てていくかということが、重要なのだ。それは単に本好きを作ろうということではなくて、本の価値自体の再構築を行わないといけないのではないだろうか。単なる情報源というだけでは、Google Printであればすんでしまうでしょう。情報源を超えたもの…

ただ、英語で書かれた書籍を何冊も作っていますが、この中身をGoogle Printに提供できれば、今まで弱点であった海外からの受注という点で、プロモーションとしても有効になるかもしれない。英語で書かれた研究書を出して、採算を取り(現状では採算をとるのが難しい!)、世界的に知られる出版社になるというのは長期的な夢なので、もしかしたら、その点ではチャンスかもしれない。

このことについては重要なことなので、何回か述べていきたい。そもそも、私が「投げ銭」ということを考えたのは、国会図書館が全ての書籍を電子化する電子図書館化したときのことを考えてのことだったのだから。

「本の出し方」「学術書の刊行の仕方」スタッフ募集について日誌の目次

日誌の目次へ
ホームページに戻る


ご意見、ご感想をお寄せ下さい。

房主
i-matumoto@hituzi.co.jp