2004年7月13日(火)の日誌 学術研究書出版というブランド
7月13日(火)の日誌

学術研究書出版というブランド

ひつじ書房のコアコンピタンスは、学術研究書をきちんとだしていくことである。ジャンルとしては、日本語学(国語学)、英語学、言語学、それにくわえて言語教育学もふくめて言語の研究が中心である。まとめていえば、言語に関わる学術研究書を刊行することが、ひつじ書房のコアコンピタンスということになる。コアコンピタンスというのは得意なこと、一芸に秀でたこと、コアな活動というような意味として私は理解している。

このことに関しては、ひつじ書房は日本で一番であると言ってよいだろう。この春のことばの学術研究書の刊行について言えば一番である。学術研究書の出版が、一年間20冊弱で刊行数のトップテンに入ることを考えると、ことばの学術研究書だけではなく、学術研究書という視点でみても、日本でトップクラスの出版を行っていると言えるだろう。(『情報としての出版』箕輪成男 146p参照)

事実として、日本で学術書においてはトップクラスの出版を行っているわけだが、そのことの認知度はどうだろうか。言語系の研究をしている方は、ひつじ書房について名前を知っていただいているということができるだろう。しかし、5000社近くある出版社の中で、学術研究書の出版社がどういう位置にあるのか、ということを分かって下さっている方はそんなに多くはないだろう。言語系以外の研究者にとっては、なおさらだ。現状で、文系の研究者であってもほとんどの研究者に知られていないと認識しておいた方がよいだろう。

インターネット上でのプレゼンスと告知は1995年に学術書の出版社としてはじめてホームページを創って以来、力を注いできた。「学術書の刊行」というキーワードで検索すれば、グーグルでトップにでてくるようにはしている。ネット上のプレゼンスについては、取り組んでいるし、順位については実際に目に見えるかたちで反映されている。そのおかげで、私の日誌にたどり着いてくれた人も少なくないだろう。実際に、今、この文章を読んでくれているあなたがそうかもしれない。深く感謝する! しかし、一方で、現状でひつじ書房という学術研究書の出版を行っている出版社の存在を知っていて、その機能とその意味について反論があるかもしれないにしろ、理解してくれている人が、必ずしも多くないということは事実かもしれない。ネットでの情報の重要性は高まっていくことは間違いないが、その高まりを静かに待っているこような時間的な余裕はない。

では、どのように告知するのがよいのか、自分で自分に学術研究書の刊行のトップレベルですという看板を背負って、歩き回るのがよいのだろうか。名刺には説明のキーワードを入れているが、あまりに露骨に自分で自分に言及してしまうのは、説明くさくなってしまうし、本人の弁だと驚きがない。ネットだけの告知では、ネットを使わない人への訴求効果が弱い。紙媒体で行うにしろ、広告宣伝費は潤沢にあるわけではない。そもそも、目録の発送くらいで経費は限界だ。

しかし、たとえば、学術研究書の出版と学術教養書の出版では、似て非なるモノであるが、その違いが多くの研究者に分かってもらえていない。この説明を行おうとすると細かいことをいろいろと述べ立てることになってしまう。直感的に大筋を分かってもらう方法はないだろうか。

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