2003年8月21日の日誌 本の値段 覚え書き

2003年8月21日(木)

本の値段 覚え書き

本の値段について考えてみた。研究者、読者、それぞれで感じることは違っているだろう。また、出版社がわの人間はどうとらえているのだろう。では、出版社がわから、現実問題として考えてみよう。

ひとりの編集者が1年間に何冊くらいつくれるだろう。岩田書院の岩田さんは、ほぼひとりで年間30冊くらいつくっているそうだが、岩田さんのところでは原稿引き合わせ校正は行わず、ほぼ100パーセントの本が再校で校了にしてしまうそうだから、一般的とはいえないだろう。最大限で、だいたい12冊、月に1冊がだいたい上限であろう。(このあたりまだ、整合性をきちんとした説明ができる段階ではない。スタッフの編集と営業と経理の比率のこともうまく説明できない)ひとりの給与が300万として、年間10冊であれば、一冊あたり、30万円の給与を生み出さなければならない。本の利益率からすると(この利益率の計算もまだだ)一つの本当たり、500万の総定価が必要だ(もしかするとこれでは少ないかもしれない)。ひつじ書房は、取次店に67パーセントでおろしているから(問屋と書店の両方で33パーセントの荒利がある)、335万円となる。これは全部が売れた場合である。その10パーセントが給与に支払えるかというとこれはなかなか難しいような気がする。刊行部数の半分が一年に売れるとして、2年目からは一年間に半分売れるとすると335万円が売れて、その10パーセント分ということになる。

先日ある先生から、2500円で1000部という計算ができないかということを言われたのであるが、そうすると卸値が167.5万ということになり、もし、全てが売れても17万円である。一月分の給与にもならない。そうなるとこれは難しいし、その規模であれば、やってもやっても貧乏のままということになってしまうだろう。だから、一つのプロジェクトあたりは500万円が最低の規模であると言うことはおおむねまちがっていないだろうが、ちょっともう少し正確な算出方法を作る必要がある。

<課題>
○人員による分配率と仕事率の想定方法
○利益率の算出方法
○総定価と利益の算定方法

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