2003年4月11日(金)

報告や発注のための文法

文法を仕事や生活の中で、必要なものとして見た場合にどういうふうに見えてくるだろう。仕事の中では、主語というようなものが必要になるのは、発注主が誰であるかをはっきりさせる必要があるときだ。文法の体系として、必要があるからということは「報告文法」では、どうでもよい。

たとえば、「いろいろ、文句を言われているのですが、どう答えたらいいでしょうか」と電話を取ったスタッフが聞いてきたとすると、「誰がなんだ?」と聞くでしょう。その文句を言っているのが、上得意なのか、それとも一見さんなのか、先生なのか、それともお客さんなのかによって答え方が変わってくる。アルバイトの学生さんが、電話を受けて「本が何時出るのか、聞かれているんですけど」と言われると「誰?読者?先生?書店?」と聞き返します。いっしょに作っている著者の関係者に答える場合と、注文をしてくれる個人と売ってくれる書店では、提供すべき情報が違うからです。

また、「○○先生が、届かないといって怒っているんです。」という報告がくれば、「何がとどかないんだ?」と聞き返すでしょう。

「誰が、何時、何を、どこで、どのような目的のために、どのようにして」という要素は、報告の時には必要だし、他人に仕事を頼む場合もそのことを明確に伝えなければ上手くいかない。この時、主語はだれなの?と聞くことが多い。主語ということばを、使った方がわかってもらいやすい。

また、「原稿が上がってきました」という言い方をするときは、著者から原稿が届いたという意味で、「ゲラが出てきました」というというのは印刷所からという意味になる。待遇表現を分けることで、だれの仕事かということを区別できる。著者から、あるいは印刷所からということをわざわざいうのは面倒な場合には、述部の言い方で表してしまう。

こうしたことは、仕事をしている中で、仕事をスムーズにすることばの使い方ということだ。

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