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2020.2.7更新

第52回メディアとことば研究会



日時:2019年3月15日(金)14:30–17:30

場所:筑波大学 人文・社会学系棟1階 A101


発表者1:設樂 馨(武庫川女子大学)
題目:小学生新聞の災害報道

概要:小学生新聞とは、対象となる読者を小学生に限定した新聞である。単一紙の代表的な3紙「朝日小学生新聞」「毎日小学生新聞」「読売KODOMO新聞」から、6月に起きた大阪北部地震を中心に、災害報道の教育的側面を検討する。一般的に「新聞」というと、社会の出来事の報道や論評を思い浮かべるが、小学生新聞では理科や国語などの教科に直結する記事も多い。大人向けより大きな文字で、振り仮名が多く、イラストが豊富で多色刷りである。振り仮名の使用法は、教育的な側面が強く現れており、本発表では記事をいくつか取り上げながら紹介していく。次に、防災教育について、文部科学省「『生きる力』をはぐくむ防災教育の展開」における、学校における防災教育の3つのねらいを踏まえ、大阪北部地震やその他の災害・防災関連記事を分析する。参加者の知見もお借りしながら、災害報道と教育の考察を深められたら、と願っている。


発表者2:岡田 祥平(新潟大学)
題目:現代日本語における書体の多様性が意味すること-テレビの字幕から考える-

概要:日本で放送される最近のテレビ番組を見ていると、実に様々な種類の書体(フォント)の字幕が使用されていることに気づく。では、最近のテレビ番組ではなぜ様々な種類の書体の字幕が使用されているのであろうか。様々な種類の書体を使い分けることで、テレビの製作者は視聴者に一体何を伝えようとしているのであろうか。
 言語研究の立場から書体が伝える情報に関して考察を試みた先行研究は,発表者が知る範囲ではほとんど存在していない。そこで、本発表では,テレビ番組の字幕に観察される書体の多様性を例として取り上げつつ、現代日本語における書体の多様性の意味について考えたい。
 なお、現時点では、発表者からは以下のようなトピックに言及するつもりでいるが、発表者自身、現代日本語における書体の多様性意味について明確な回答を持ち合わせていない。当日、聴衆のみなさまから、様々なご示唆を頂戴できればと思っている。
  1 語用論的な効果を伝える手段としての書体
  2 パラ言語情報と非言語情報を伝える工夫としての書体
  3 「役割語」/「キャラクター」提示としての書体
  4 書体が持つ「意味」を「(再)生産」させる「装置」-漫画からテレビへ-