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2012.1.6更新

第35回メディアとことば研究会

日時:2011年12月17日(土)15時〜18時
利用会場:

〈東京会場〉東洋大学白山キャンパス 5号館2階 5201教室    
〈関西会場〉武庫川女子大学 研究所棟6階 I‒609 言語文化研究所

発表者名:村松麻里(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士後期課程)
タイトル:絵本というメディア
キーワード:絵本論、めくり、記号、メディアとことば、物語、遊び

概要: 20世紀後半以降の絵本論では、絵本(picture book)を、挿絵入り本(illustrated book)やイラスト事典などのexhibit bookとは明確に区別し、定義づけている。絵本には、線条的な時間芸術とされる〈ことば〉の語りと、本来は非線条的な空間芸術とされる1枚1枚の〈絵〉、及びそれらが「めくり」によって連結したときの語りとがあり、それら2つの語りが、時に補完し、時に対立・矛盾しながら一体的に読者に働きかける独自のメディアが絵本であるとするものである。本発表では、これら2つの語り=記号体系の違いに留意しながら、主として20世紀後半以降の現代絵本作品を題材に分析を行い、絵本メディアの本質について考察する。その際は記号論の知見を用い、絵本における多様な記号使用が詩的機能や遊戯性の生成とどのように関係しているかや絵本におけるオノマトペの働きといった点にも注目したい。尚、現代絵本の特徴を鮮明にするため、通常の絵本と教材絵本との比較分析も一部紹介する予定である。

【発表レジュメ(Pdf)】



発表者名:増田祥子(大阪府立大学大学院博士後期課程)
タイトル:言葉遣いの実用書における敬語の扱いの変遷
キーワード:規範意識、言葉遣いの実用書、敬語、男女差、変化

概要: 本発表では、言葉の使い方や話し方のマナーについて書かれた実用書を資料とし、言語規範の分析を行う。言葉遣いの実用書には「このように言うべきである・言うべきでない」といった規範意識が示されている。本発表では、1950年代から2010年までに出版された言葉遣いの実用書を資料とし、実用書における中心的なテーマともいえる「敬語」に関する記述の変遷について論じる。具体的には、以下の2点を明らかにすることを目的とする。(1)実用書の出版された年代によって、敬語観や言及される内容、正誤意識などがどのように変化しているか。(2)実用書が対象読者とする性別からみた場合、敬語の記述がどのように異なるか。また、学術研究の動向や世論調査、社会の動向との関連からも考察し、言語規範の示される媒体としての実用書の位置づけを行いたい。

【発表レジュメ1(Doc)】 【発表レジュメ2(Pdf)】