研究会の趣旨][過去の研究会の活動][ホームページ

2009.12.14更新

第27回メディアとことば研究会

日時:2009年12月5日(土)15時―18時半
利用会場:

〈東京会場〉東洋大学白山キャンパス ナレッジスクエア

〈関西会場〉武庫川女子大学 日下記念マルチメディア館
     (通称MM館のMM-108)



発表者名:設樂 馨(武庫川女子大学文学部日本語日本文学科助手)
タイトル:文字テロップと視聴者意識
キーワード:テレビ、文字テロップ、視聴者、意識調査

概要: テレビを視聴するとき、テレビの画像に被せられる文字情報「文字テロップ」をどのように意識しているだろうか。便利?邪魔?それとも楽しい?―この問いに答えるため、学生を中心に一般成人も含めた702名にアンケート調査を行なった。テレビ視聴に関しては、専念のテレビ視聴に対し、「ながら」の視聴が指摘される。そこで、どんな行為をし「ながら」視聴するのか、また、どんな場面で文字テロップが役立つのか、といった調査の結果を踏まえ、次の三点を指摘する。(1)文字テロップを見るかどうかは慣習による。(2)テレビ視聴が希薄化しているという20代前後では特に文字テロップを必要とする傾向がみられる。(3)文字テロップはわかりやすさだけでなく面白さや楽しさを認識するために必要とされることがある。以上の三点を踏まえ、テレビというメディアが「文字」に、「文字」ということばがテレビにどんな影響を与えるのか、考えてみたい。
【発表レジュメ(Pdf)】


発表者名:永山友子(神奈川大学外国語学部非常勤講師)
タイトル:
日本語字幕か吹き替えか —ピクサー映画TM『カーズ』の場合
キーワード:マルチモード・ディスコース・アナリシス、環境記号論、米英語アニメーション映画、日本語字幕版、日本語吹き替え版、ことばの表現性

概要: 本研究は、米英語アニメーション映画『カーズ』の日本語字幕版と日本語吹き替え版を比較検討しながら、映像と字幕、映像と吹き替え台詞、更に映像に表れる言語表記という、複数の表現モードを用いたマルチモード・ディスコースを「環境記号論」を理論的背景として分析し、表現の可能性を探る。日本語観客を対象に表現される内容の比較検討には、観客のメディア・リテラシーを喚起する狙いもある。加えて、字幕や映像に表れた言語表記の書きことば、吹き替え台詞の話しことばとしての表現性の豊かさも、具体例を示しながら主張する。映像の構成や字幕の配置、吹き替え台詞を流すという即時的、即物的で、物理的な状況である「環境」は、映像と字幕、映像と吹き替え台詞を組み合わせて初めて意味が伝わる外国語アニメーションには欠かせない。また、字幕版も吹き替え版も、観客の理解を助けるために作成されるが、オリジナル米英語版の全てを表現してはいない。米国少数民族言語の台詞や表記へのコード(モード)・スイッチングという問題も採り上げる。
【発表レジュメ(Powerpoint)】