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2008.12.16更新

第23回メディアとことば研究会

日時:2008年12月13日(土)15時―18時
利用会場:
〈関東会場〉東洋大学白山キャンパス3号館1階ナレッジスクウェア
〈関西会場〉武庫川女子大学日下記念マルチメディア館(通称MM館のMM-108)



発表者名:高橋圭子(東洋大学文学部日本文学文化学科 非常勤講師)

タイトル:教科書というメディア −『源氏物語』から考える−
キーワード:古典、教科書、批判的読解力(クリティカル・リテラシー)、相対化、『源氏物語』
概要: 本発表では、高校古文教科書を次の観点から検討する。
(1)批判的読解力(クリティカル・リテラシー)。日本の学生の弱点として指摘されるのが、この、テキストを分析・考察・解釈・評価する力である。その一因は、学校教育において教科書所載の作品が文学的価値の高いものとされ、授業の目標はその価値を理解すること、とされていることにある。生徒自身が作品の価値を評価・判断する力を育成するには、教科書にはどのような記述が求められるだろうか。
(2)価値観の相対化。教材にはそれぞれの思想・価値観が織り込まれているが、教科書全体を一つのテキストと見た場合、それぞれの思想・価値観が相対化されるような教材の選定が望まれている。はたして、このねらいは果たされているだろうか。特に、日本古典文学の最高峰とされ、殆ど全ての教科書に採録されている『源氏物語』に焦点をあて、考えたい。
【発表レジュメ(Word)】
【発表レジュメ(Powerpoint)】

発表者名:増田祥子(大阪府立大学大学院人間社会学研究科博士後期課程)
タイトル:言葉遣いに関するマナー本にみる言語行動規範の変化
キーワード:マナー本、言葉遣い、規範、言語行動
概要: 本発表では、言葉遣いに関して書かれた本(以下マナー本とする)を用い、言語使用において存在する「すべきこと・すべきでないこと」を言語行動規範と定義し、言語行動規範について考察する。消費者に購入されることが目的であるマナー本の中で示される様々な規範は、社会の一般的な規範を反映したものである。マナー本の出版された年代を基準とし、その中に示される規範を見ることで、社会における言語行動規範の変化について考察したい。特に、言語行動においては、規範を守ること、もしくは破ることによって、規範を共有する人々の間で何らかの影響が生じることがある。この影響の種類は、次のように分類することができた。
(1)話し相手をはじめとする会話参与者との関係維持に関する影響、(2)話し手自身の評価に関わる影響、(3)会話の伝達・やりとりに関する影響。これらの影響のうち、出版年代が新しくなるにつれ、話し手自身の評価に関連する事例が増加し、また話し手が良く見られるというプラス評価の事例が多くなっていることがわかった。
【発表レジュメ(Word)】