出版論(I)

Date.2001.6.4

東京大学社会情報学研究所 教育部研究生 浅野壮一朗

ヴィニール出版

企画1 コモエスタ八重樫『ラウンジ・ミュージック』

著者のフィールド・日本初のラウンジDJ

ページ数 約240ページ

定価 2000円

部数 2000部

コスト 全部売れると400万円

印刷等原価 92万円 23%

印税 40万円 10%

倉庫費 20万円 5%

広告費 20万円 5%

合計 43%

取次 67%だから、儲けは24%=96万円

3年で完売するとして、1年辺りの儲けは32万円

詳細は<#kikaku1>下記

企画2 小出斉『ブルース・ギター西東』

著者のフィールド・音楽ライター

ページ数 1回10ページ×31回=310ページ

定価 2500円

部数 2000部

コスト 全部売れると500万円

印刷等原価 125万円 25%

印税 50万円 10%

倉庫費 20万円 4%

広告費 20万円 4%

合計 43%

取次 67%だから、儲けは24% 120万円

3年で完売するとして、1年の儲けは40万円

概略 雑誌『レコード・コレクターズ』に連載されていた記事を単行本化したもの。ブルーズ・ミュージシャンを一回に一人ずつ取り上げ、その音楽や奏法について詳しく語っているのが魅力。特に、毎回紹介される代表的なレコード表がありがたい。白人のプレイヤーを扱った部分もあり、ブルーズというものがどのように捉えられてきたかを把握する上でも重宝すること請け合い。

企画3 椿正雄『ブラック・ミュージック裏街道』

著者のフィールド・ブラック・ミュージック

ページ数 約200ページ

定価 2000円

部数 2000部

コスト 企画1に同じ

概略 下北沢でレコード店フラッシュ・ディスク・ランチを経営している著者による、ブラック・ミュージック論。一般的な切り口のみならず、その裏にある背景や、他ジャンルとの関わりも論じる。雑誌『レコード・コレクターズ』にかつて連載されていた同名の記事に加筆し、中途半端で終わった感のある連載を完結させるという方向で、本をまとめる。

企画4 浅倉久志・伊藤典夫『SF対談』

著者のフィールド・英米SF翻訳

ページ数 約300ページ

定価 2500円

部数 2000部

コスト 企画2に同じ

概略 日本における英米SF翻訳界での2巨匠、浅倉久志と伊藤典夫が、その翻訳業を通して感じた、SFの発展史や魅力について、対談形式で綴る本。特に、浅倉久志氏は、昭和5年生まれにも関わらず、これまで1冊の著書も出していない。この辺りで著書を出してもらいたいと望んでいるSFファンも多いはず。中でも、フィリップ・K・ディックのかなりの点数を浅倉久志が訳しており、その辺りへの独自の見解が期待される。

ちなみに、この刊行ペースだと、1冊平均の収入は36万円。家賃が1ヶ月15万円だとすると、1年に必要なのは15万円×12ヶ月=180万円。社員をもう1人雇って、月額の給料を20万円とすると(ボーナスなし)、二人分で、20万円×12ヶ月×2人=480万円。だから、1年に必要とされる収入額は660万円。このためには、1年に660万円÷36万円/冊=18.3333冊出版しなくてはならない。


企画1 コモエスタ八重樫『ラウンジ・ミュージック』詳細

構成

第一部 ラウンジとは何か

1. ラウンジ発祥の地

2. ラウンジという音楽

3. ラウンジの栄えた場所

4. クラブ・ミュージックとしてのラウンジ

第二部 年代別ラウンジ史

5. 60年代のシーンに見るラウンジ

6. 70年代のシーンに見るラウンジ

7. 80年代のシーンに見るラウンジ

8. 90年代〜現代のラウンジ・シーン

第三部 ラウンジの魅力

9. ラウンジの楽しみ方 (ここまでは各20ページぐらい)

10. ラウンジ名盤100選 (最初に10枚を、1ページ1枚で紹介して、残りは1ページ3枚で紹介。もしくは、50選にして、最初の10枚は1ページ1枚、残り40枚は、1ページに2枚ずつ紹介)

内容:これ一冊でラウンジというジャンルについて、大体がわかるようなもの、辞書的な使い方をしてもらえるようなものにする。だから、ターゲットになる客層は、ラウンジに少しでも興味のある人。一般人に向けての本ではなくて、寧ろ専門書的扱いになる。コモエスタ八重樫氏の文章については、こちらを参照。