発話の権利 定延利之編 ひつじ書房 発話の権利 定延利之編
2020年12月刊行

発話の権利

定延利之編

A5判並製カバー装 定価2,900円+税 244頁

装丁 坂野公一+吉田友美(welle design)

ISBN 978-4-89476-983-0

ひつじ書房
Entitlement of Speech
Edited by SADANOBU Toshiyuki


【内容】
車が動かないのは、運転手がペダルを踏み間違えているからである。それを見つければ車内の誰でも「あ、ブレーキ踏んでる!」と言える。だが、「あ、ブレーキ踏んでた!」は基本的に運転手しか言えない。この運転手の「特権性」はどこから、どのように生じるのか? 語用論、会話分析、人類学、動物行動学の第一線の研究者たちの「答」がここにある。
執筆者:木村大治、串田秀也、定延利之、園田浩司、高梨克也、中村美知夫、細馬宏通、村田和代



【目次】
序論 この論文集ができたわけ
定延利之

1.発端―伝統的なコミュニケーション観のほころび
2.「発話の権利」とは?
3.それぞれの招待論文の紹介
4.この論文集の構成


ヒト以外の動物に「権利」はあるか
中村美知夫

1.はじめに
2.言語なしの「権利」
2.1 「発話の権利」の拡張
2.2 空席に座る権利
2.3 彼氏と腕を組む権利
3.霊長類の「優劣」関係に見える「権利」
3.1 ミカンテスト
3.2 チンパンジーにおける「優劣」関係
4.肉をめぐる「権利」
4.1 チンパンジーの肉食
4.2 肉をもらう「権利」
4.3 肉を奪われない「権利」
4.4 抗議する「権利」
5.食べ物の関わらない「権利」
5.1 他人の子供を連れて行く「権利」
5.2 壁叩きの「権利」があるのに
6.おわりに
6.1 本当に「権利」なのか
6.2 社会的優劣との関係
6.3 コンテクストと関係の歴史性


バカ語話者にみられる発話の借用 「発話の権利」は普遍なのか
園田浩司・木村大治

1.はじめに
1.1 バカの会話における反復
1.2 「自分の発話」とは何か
2.対象と方法
2.1 バカ
2.2 民族誌的会話分析とその困難
3.バカの会話
3.1 くりかえしと重複
3.2 他の狩猟採集民の事例
4.他の民族集団との比較
4.1 狩猟採集民本質主義?
4.2 農耕民との比較(1)背景発話の変動係数
4.3 農耕民との比較(2)発話重複の頻度
5.発話の権利は普遍なのか
5.1 発話の権利とは何か
5.2 狩猟採集社会と平等主義

再現行為とコ系指示語の「いま」性 自身の再現を指し示す権利
細馬宏通

1.『秋刀魚の味』の敬礼
2.コソア系の指示語をめぐる理論
2.1 情報のなわ張り理論
2.2 談話管理理論
2.3 相互行為上の指示語と注意の組織化
2.4 コ系のnow-time性
3.コ系と再現行為の相互行為分析
3.1 コ系指示語が再現行為の直前にくる場合
3.2 コ系指示語と再現行為が同時に行われる場合
3.3 ア系指示語とコ系指示語によるモデルと再現行為の対比
3.4 コ系指示語による予告、映像内のモデルへの指示
3.5 ソ系指示語と再現行為が同時に行われる場合
4.語る「権利」、再現する「権利」
4.1 担当という「権利」
4.2 再現行為の重層性


自分に属することを話す権利の主張と交渉 会話分析の視点から
串田秀也

1.はじめに
2.発話順番交替と自分に属することを話す権利
2.1 順番交替の「文脈から自由な」手続き
2.2 変則的な順番交替
3.評価や話題に対する優先的権利
3.1 評価連鎖における優先的権利の主張
3.2 話題に対する優先的権利
4.結論


ビジネスミーティングにみられるユーモアから発話の権利を考える
村田和代

1.はじめに
2.職場談話にみられるユーモア
3.研究のフレームワーク
4.言語データ
5.Jソリューションのビジネスミーティングにみられるユーモア
5.1 米田氏
5.2 芦沢氏
5.3 谷本氏
5.4 真辺氏
5.5 考察
6.まとめ
データ文字化記号


維持されるものとしての発話の権利 クライアントの意向を尊重もしくは利用する
高梨克也

1.「発言に成功すること」は「発言が成功すること」ではない
2.適切性条件とカテゴリー付随活動
2.1 言語行為の適切性条件
2.2 カテゴリー付随活動
2.3 個々の発話の権利を超えて―職能があれば権限が保障されるわけではない
3.分析対象と問題関心
4.大局的構造
4.1 対象部分の議論の全体的構造
4.2 議論の到達点
5.コンサルタントが「やっていない」こと
5.1 「提案」の仕方:応募者が実行すべきプランを直接提案することはしない
5.2 「応答」の仕方:応募者からの部分的反論や抵抗に直接的に反論しない
5.3 「表現」の仕方:それぞれの案についての価値判断を(極力)表明しない
6.考察―「クライアントの意向を尊重する」ことの意味


「発話の権利」とはどういう現象か
定延利之

1.はじめに
2.伝統的な言語観
3.アニマシー
4.他動性
5.尊敬語
6.責任者の特権とは、何の特権か?
7.知識修正の「た」・思い出しの「た」・発見の「た」
8.もう一種の会話場離脱発話
9.変化と動作
10.文法と会話
11.きもちの文法
12.きもちの現れを必要とする会話場離脱発話
13.権力と会話のサポート
14.交渉の中の「発話の権利」
15.まとめ

あとがき
索引
編者・執筆者紹介


【編者紹介】
定延利之(さだのぶ としゆき)
京都大学大学院文学研究科教授・神戸大学名誉教授
[主な著書・論文]
『コミュニケーションへの言語的接近』(2016、ひつじ書房)
『文節の文法』(2019、大修館書店)
『コミュニケーションと言語におけるキャラ』(2020、三省堂)


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