ひつじ書房 太宰治と戦争 内海紀子・小澤純・平浩一編 ひつじ書房 太宰治と戦争 内海紀子・小澤純・平浩一編
2019年5月刊行

ひつじ研究叢書(文学編) 11

太宰治と戦争

内海紀子・小澤純・平浩一編

定価5,800円+税 A5判上製カバー装 386頁

ブックデザイン 坂野公一(welle design)

ISBN 978-4-89476-977-9

ひつじ書房

Dazai Osamu and the War
Utsumi Noriko, Ozawa Jun and Hira Kouichi


【内容】
2019年6月19日に生誕110年を迎える、小説家・太宰治(1909-1948)。その創作期は、満州事変から、日中戦争、太平洋戦争を経て、戦後占領期に重なる。本書は、戦争から太宰治の生きた時代と作品を捉え直すことを目指し、共同研究「クロニクル・太宰治と戦争1937-1945」、「太宰治と戦争」の関係を多角的に再考する研究論文11本とコラム2本を収録、新たな研究の視界を切り拓く。執筆者:滝口明祥、野口尚志、井原あや、松本和也、吉岡真緖、斎藤理生、大國眞希、内海紀子、長原しのぶ、小澤純、平浩一、五味渕典嗣、若松伸哉


【目次】

まえがき―〝戦争〟に立ち会い続けた言葉  小澤 純

【共同研究】クロニクル・太宰治と戦争 1937-1945 「太宰治スタディーズ」の会/内海紀子・平 浩一 編

一九三七年五月― 八月 「不思議な戦争」の始まり前後  吉岡真緖
一九三七年九月―一二月 「文芸復興」と太宰治「前期」の終焉をめぐって  平 浩一
一九三八年一月― 四月 高揚と統制  野口尚志
一九三八年五月― 八月 小説空白期にみる〈生〉獲得の前進  長原しのぶ
一九三八年九月―一二月 〈社会化〉する作家たちと御坂峠の太宰治  滝口明祥
一九三九年一月― 四月 大陸へ〈転進〉する文学の欲望  内海紀子
一九三九年五月― 八月 芥川賞と「素材派・芸術派論争」の行方 平 浩一
一九三九年九月―一二月 「こをろ」創刊と泉鏡花の死  大國眞希
一九四〇年一月― 四月 紀元二六〇〇年の幕開けと系譜小説  斎藤理生
一九四〇年五月― 八月 文芸銃後運動の拡大と東京オリンピック・ロスの磁場  小澤 純
一九四〇年九月―一二月 始動する大政翼賛会文化部と文壇新体制  松本和也
一九四一年一月― 四月 見えざる転換―芥川賞と「こをろ」を例として  大國眞希
一九四一年五月― 八月 独ソ開戦をめぐる状況と「名スタイリスト」の進む道  井原あや
一九四一年九月―一二月 太平洋戦争開戦と文学  内海紀子
一九四二年一月― 四月 「開戦」と文学―〈連続/切断〉の問題  平 浩一
一九四二年五月― 八月 南方と文壇の「知的冒険者」  井原あや
一九四二年九月―一二月 〈思想戦〉のなかの「花火」  野口尚志
一九四三年一月― 四月 「国民文学」への期待と〈非国民〉としての「鉄面皮」  小澤 純
一九四三年五月― 八月 アッツ島玉砕をめぐる文学場・文学者の動向  松本和也
一九四三年九月―一二月 私小説「作家の手帖」と戦記物「軍隊手帖」と  大國眞希
一九四四年一月― 四月 創作発表媒体縮小期における執筆活動  斎藤理生
一九四四年五月― 八月 新設文学賞と朗読文学  吉岡真緖
一九四四年九月―一二月 貪欲なる〈生〉―書くことへの執着  長原しのぶ
一九四五年一月― 四月 空襲と疎開、そのなかで書き続けるということ  滝口明祥
一九四五年五月― 八月 あの戦争の終わりと敗戦の始まり  内海紀子

Ⅰ 〝戦時下〟の文学(者)

1章 戦時下における〈信〉という問題系―太宰治と戦争 滝口明祥 
2章 総力戦体制下の〈家庭の幸福〉―「花火」における青年の身体 野口尚志 
3章 戦時下の朗読文学―作家・メディア・投稿 井原あや

コラム パロディの強度―「十二月八日」論のために 五味渕典嗣

Ⅱ 〝聖戦〟と〝敗戦〟の時空

4章 「散華」における〝小説〟と〝詩〟 松本和也 
5章 『津軽』論―言語空間『津軽』の反逆 吉岡真緖
6章 「瘤取り」論―「前書き」・『コブトリ』・『現代』を手がかりに 斎藤理生
7章 「竹青」―漢籍の世界と「私」の黄金風景 大國眞希

コラム 「私の胸底の画像」を語る『惜別』―伝記小説の流行と太宰治作品 若松伸哉 

III 〝戦後〟への架橋

8章 この戦争の片隅に―「佳日」から戦争表象を考える 内海紀子
9章 『パンドラの匣』論―戦争とキリスト教 長原しのぶ 
10章  「日本一」を書くこと、書かないこと―「散華」・『お伽草紙』・「未帰還の友に」のテクスト連関 小澤 純
11章 「戦後」の日付―志賀直哉「灰色の月」と『世界』、あるいは太宰治 平 浩一 

編集後記―あとがきにかえて
執筆者紹介



【編者紹介】
内海紀子(うつみ のりこ)
お茶の水女子大学大学院博士後期課程単位取得退学
「「桜桃」論―占領下の〈革命〉」(『太宰治研究19』和泉書院、2011)、「イメージの分有とジェンダー―太宰治「雪の夜の話」を読む」(『新世紀太宰治』双文社出版、2009)

小澤 純(おざわ じゅん)
慶應義塾志木高等学校教諭・恵泉女学園大学非常勤講師
「戦時下の芥川論から太宰治『お伽草紙』に響く〈肯定〉―山岸外史・福田恆存・坂口安吾の「批評」を触媒にして」(『近代文学合同研究会論集』13、2017)、「芥川龍之介「歯車」に宿るアーカイヴの病―日本近代文学館・山梨県立文学館・藤沢市文書館の所蔵資料を関連させて」(『日本近代文学館年誌 資料探索』14、2019)

平 浩一(ひら こういち)
国士舘大学文学部教授
『「文芸復興」の系譜学―志賀直哉から太宰治へ』(笠間書院、2015)、「横断する作家像―山本有三像の流通とその行方」(『昭和文学研究』74、2017)


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