多人数会話におけるジェスチャーの同期 「同じ」を目指そうとするやりとりの会話分析 城綾実著 ひつじ書房 多人数会話におけるジェスチャーの同期 「同じ」を目指そうとするやりとりの会話分析 城綾実著 ひつじ書房
2018年2月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第151巻

多人数会話におけるジェスチャーの同期

「同じ」を目指そうとするやりとりの会話分析

城綾実著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製函入り 240頁 定価5800円+税

ISBN 978-4-89476-906-9

ひつじ書房


Gestural Matching in Multi-party Conversation: Conversation Analysis of Achieved Synchrony
in Social Interaction
Ayami Joh


【内容】
「私はあなたと同じ理解をしている」ことを相手に伝えるには、さまざまなやり方がある。本書では、二人以上で同時に同じジェスチャーをするジェスチャーの同期を対象とし、複数の相互行為環境で収録した映像データをもとに、人びとが「同じ」を目指すやり方に迫る。会話分析による精度の高い形式的記述を通じて、言語によるやりとりのみならず、身体と言語、身体と身体の相互彫琢を支える人びとの合理性と柔軟さを明らかにする。



【目次】

第1章 序論―人びとにとっての「同じ」とは何か
1. はじめに―ジェスチャーの同期とは何か
2. なぜジェスチャーの同期を扱うのか
3. どの方法でジェスチャーの同期を扱うのか
4. 会話分析に依拠した相互行為研究
5. 本書の構成

第2章 「同じ」をめぐる先行研究
1. 「同時」に行なわれる「同じ」振る舞い
2. 相互行為の外部から分析した「同じ」振る舞い
3. 相互行為の内部から分析した「同じ」振る舞い
3.1 唱和的共同産出とジェスチャーの同期
3.2  予備的分析―ジェスチャーの同期の組織化と相互行為上の効果
4. ジェスチャーの「同期」という用語について
5. まとめ

第3章 研究方法とデータ
1. 会話分析
2. 会話分析の基本的概念
2.1 発話順番、発話順番交替
2.2 投射と高められた投射可能性
2.3 行為連鎖と隣接ペア
2.4 修復
3. ジェスチャー研究
3.1 ジェスチャーがどのように取り扱われてきたか
3.2 ジェスチャー単位
4. 相互行為資源としての身体
4.1 会話分析における視線の分析
4.2 身体行動に見られる形式的組織の探究
5. ジェスチャーの同期を記述するための諸概念
5.1 ジェスチャーによる投射可能性
5.2 ジェスチャーの同期と参加機会「スロット」
5.3  ジェスチャーの同期に利用される高められた投射可能性
6. 認識可能なジェスチャーの構造を記述すること
7. 転記方法
7.1 ジェスチャーと発言の違い
7.2 発言の表記
7.3 ジェスチャーと視線の表記
8. データの概要

第4章 人びとにとってのジェスチャーの同期
1. ジェスチャーの同期をめぐる知見の整理
2. ジェスチャーの同期達成過程
2.1 会話の進行に伴い顕在化する知識あるいは経験の差
2.2  隣接ペアの性質と特定のジェスチャーが生み出されるスロット
2.3 ジェスチャーの準備
2.4  発話権の緩み、受け手の視線確保とジェスチャーの組み立て
2.5 小括
3. 高められた投射可能性―ジェスチャーの準備
3.1 話し手が先行するケース
3.2 受け手が先行するケース
3.3 小括
4.  高められた投射可能性―規範的構造、繰り返し利用すること
4.1 表現対象および身体が有する規範的構造
4.2 ジェスチャーを繰り返し利用すること
4.3 小括
5. 「 同じ」を目指す人びとの試み―細部のずれに関する考察
6. 「 同期スロット」におけるジェスチャーの差異に対する志向性
7. まとめ

第5章 ジェスチャーの同期が成し遂げられる位置
1. 相互行為の位置に注目する意義
2. 連鎖や活動の完了時
2.1 隣接ペア第二成分
2.2 語りのクライマックスまたはオチ
3. 進行中の活動の遅滞、トラブル発生後
3.1 訂正
3.2 想起
4. 「有標」な理解の主張の後
5. まとめ

第6章 ジェスチャーの同期により達成される行為・活動
1. 説明の共同産出
2. 参与者間の「食い違い」の解消
3. 共同産出者への同意の提示
4. 理解の例証と承認
5. まとめ

第7章 ジェスチャーの同期を利用することで生じうる効果
1. 「効果」という語で示されるもの
2. 特定の対象を「見所/勘所」として際立たせる
3. ピボット的な話題移行
4. 共通理解の確立と進行性の確保の両立
4.1 相互行為における共通理解と進行性
4.2  対話型アニメーション再生課題における共通理解と進行性の管理
4.3 視覚的資源の性質
4.4 [ 他者修復開始-自己修復実行]連鎖におけるジェスチャーの同期
4.5 物語のクライマックスにおけるジェスチャーの同期
4.6 小括
5. まとめ

第8章 結論―「同じ」をめぐる人びとの合理性と柔軟さの探求
1. 本書における課題と成果
2.  ジェスチャーの同期を中心とする一定のやり方と相互彫琢
3. 本書で展開してきた研究の意義
3.1 「 同時性/同形性」を扱う同期・同調研究における貢献
3.2 会話分析研究における貢献
3.3 ジェスチャー研究における貢献
3.4 複数領域におけるコミュニケーション研究への貢献
4. 今後の課題と展望
5.  まとめ―合理的かつ柔軟なやり方で達成されるジェスチャーの同期

参考文献
あとがき
索引



【著者紹介】

城綾実(じょう あやみ)
1984年生まれ。京都府出身。2012年、滋賀県立大学大学院人間文化学研究科博士後期課程単位取得退学。滋賀大学教育学部特任講師。博士(学術)。
〈主な著書・論文〉「科学館における「対話」の構築―相互行為分析から見た「知ってる?」の使用」『認知科学』(共著、22(1)、2015)、「認識可能な身振りの準備と身振りの同期」『社会言語科学』(共著、17(2)、2015)、「秩序だった手の動きが誘う相互行為―意味の共同理解を試みる活動を例に」『日本語学』 (36(4)、2017)など。



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