現代中国語の意味論序説 松村文芳著 ひつじ書房 現代中国語の意味論序説 松村文芳著 ひつじ書房
2017年3月刊行

神奈川大学言語学研究叢書 8

現代中国語の意味論序説

松村文芳著

A5判上製カバー装 280頁 定価5000円+税

装丁者 大崎善治

ISBN 978-4-89476-867-3

ひつじ書房

An Introduction to Mandarin Chinese Formal Semantics
Fumiyoshi Matsumura


【内容】
本書は現代中国語を、①動詞と時間体系、②語彙が構成する意味と論理、③構文が構成する意味と論理、④語彙が規制する論理の4部立てで論じた。①動詞の時間体系を整理しその全体像を記述。②は辞書では十分に説明されない“很” “把” “给” “得”を有する構文を論理式で記述。③は反語文、疑問詞の量化、比較構文を詳述。④は語気助詞“了”と“呢”の文の論理に対する規制を論じる。現代中国語の意味を総体的に示した。


【目次】

はじめに

第Ⅰ部 現代中国語の動詞と時間体系

第1章 結果補語(動詞)を持つ動詞の意味特徴

第2章 結果補語になる動詞の意味特徴

第3章 時相と動詞
3.1 状態場面(state situation)を表す動詞
3.1.1 関係動詞が述語に用いられる文
3.1.2 心理状態動詞が述語に用いられる文
3.2 持続活動場面(activity situation)を表す動詞
3.2.1 動作・行為を表す動詞が述語に用いられる文
3.2.1.1 動作([-思考])を表す動詞が述語に用いられる文
3.2.1.2 行為([+思考])を表す動詞が述語に用いられる文
3.2.2 心理活動[+思考]を表す動詞が述語に用いられる文
3.3 開始・終息場面(accomplishment situation)を表す動詞
3.3.1 開始・終息を表す動詞が述語に用いられる文
3.3.2 開始を表す動詞(持続活動場面を表す動詞)と終息を表す諸成分(……ニナル)が用いられる文
3.4 終息場面(achievement situation)を表す動詞
3.4.1 終息場面を表す動詞だけが述語に用いられる文
3.4.2 「 開始を表す諸成分」と「終息を表す動詞」が用いられる文

第4章 時相の実例(結果補語の“过”の意味と論理)

第5章 時態とそれの表示成分(動詞接尾語、文末助詞、副詞)
5.1 完了時態
5.2 経験(经历)時態
5.3 近経験時態
5.4 持続(持续、进行)時態
5.4.1 持続時態
5.4.2 進行時態
5.5 開始時態
5.6 継続時態
5.7 将来(将行)時態
5.8 近将来(即行)時態

第6章 時態の実例(時態助詞“了”と動作の量化)

第7章 時相・時態・時制と参照時間点・出来事時間点・発話時間点

第Ⅱ部 現代中国語の語彙が構成する意味と論理

第8章 量化副詞(程度副詞)の表示する論理と実例分析

第9章 前置詞“把”の意味と論理(確定性の認可)

第10章 「把構文」と「被構文」に用いられる「给」の派生授与義
10.0.1 本章のはじめに
10.0.2 朱德熙1982 の考える「与事」とは何か
10.0.3 朱德熙1982 の「与事」の例の述語論理による表記
10.0.4 朱德熙1982 の二重目的語文の間接目的語
10.0.5 朱德熙1980 における「给」の説明
10.1 現代中国語の文の述語論理による表記
10.2 ヴォイス(使役、処置、受身)の内包論理
10.3 把構文における「给」の派生授与義
10.3.1 “把……给”文型の“给”の表す派生授与義
10.3.1.1 “ 把……给”文型の“给”が[積極性]を表すもの
10.3.1.2 “ 把……给”文型の“给”が[不満/憤懣/怒り]を表すもの
10.3.1.3 “把……给”文型の“给”が[意外性]を表すもの
10.3.1.4 “把……给”文型の“给”が[損害性]を表すもの
10.4 被構文における「给」の派生授与義
10.4.1 “ 被……给”文型の“给”が「動作・行為の積極性」と「対象物の被害性の増大」を表すもの
10.4.2 “ 被……给”文型の“给”が「動作・行為の積極性」と「対象物の属性に対する働きかけ(影響)の増大」を表すもの
10.5 「被」「把」「给」の共起する構文の論理式
10.6 “给”を挿入できない「把構文」
10.7 本章の結び

第11章 「使役」の構造助詞“得”の意味と論理構造

第Ⅲ部 現代中国語の構文が構成する意味と論理

第12章 現代中国語反語文の成立の論理分析

第13章 現代中国語の疑問詞と量化
13.1 本章のはじめに
13.2 疑問詞が量化とかかわる文
13.3 第一の量化──【不確定性】の意味
13.4 第二の量化──【確定性】の意味
13.5 第三の量化──【すべて】の意味
13.6 二個の疑問詞を持つ文の論理式・単純な構文例
13.7 二個の疑問詞を持つ文の論理式・複雑な構文例
13.8 論理式への補足
13.9 本章の注

第14章 比較構文の論理と意味
14.1 同等比較

第15章 現代中国語の主要な統語構造の意味表示の論理式
15.1 授与文(给構文)
15.2 処置文(把構文)
15.3 取得文(偷構文)
15.4 受身文(被構文)
15.5 授与文と処置文、取得文と受身文
15.6 在構文、比構文、连構文
15.7 演繹モデルの運用による論理式の表示

第Ⅳ部 現代中国語の語彙が規制する論理

第16章 語気助詞“了”の表示する論理と実例分析(十分条件の役割)

第17章  語気助詞“呢”の表示する論理と実例分析(必要十分条件の役割)

参考文献
後記
索引


【著者紹介】
〈略歴〉1947年三重県生まれ、1974年大阪外国語大学大学院外国語学研究科中国語学専攻修士課程修了(文学修士)、1979年南開大学(中国天津市)留学(至1981年2月)。1988年神戸商科大学教授、1988年神戸商科大学在外研究員(フルブライト研究員・オハイオ州立大学、イリノイ大学)、1992年神戸商科大学在外研究員(イリノイ大学)、1994年神奈川大学外国語学部中国語学科教授、神奈川大学大学院外国語学研究科(兼担)教授、現職神奈川大学外国語学部中国語学科教授。


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