メディアのことばを読み解く7つのこころみ 名嶋義直編
2017年2月刊行

メディアのことばを読み解く7つのこころみ

名嶋義直編

A5判並製  定価2,400円+税

装丁者 渡部文

ISBN 978-4-89476-841-3

ひつじ書房

Seven Approaches to Uncovering Media Discourse
NAJIMA Yoshinao


【内容】
2015年3月22日に仙台にて開催された国際シンポジウムの講演内容に加筆修正を施して刊行。まず執筆者たちは、言語学者・言語教育者がいまなぜメディア談話を批判的に分析するのか、その意義はどこにあるのかについて自らの意見や立場を語った。そしてさまざまなアプローチでテレビ・新聞・記者会見・インターネット上の情報等のメディア談話を批判的に分析した。それらの論文を読み込むことで市民性教育においても重要な批判的リテラシーが得られることを期待する。

執筆者:庵功雄、今村和宏、大橋純、神田靖子、名嶋義直、野呂香代子

【目次】

はじめに

「ことばとその周辺」を批判的に分析する  執筆者一同
1. 「ことばとその周辺」を批判的に分析することの意義
2. 批判的談話分析/批判的談話研究とは何か
3. 文化発信の面から批判的談話研究を実践することの意味
4. 教育現場で批判的談話研究を実践することの意味
5. 定量的(数量的)観点から批判的談話分析を実践することの意味
6. 言語研究者・言語教育者が批判的談話研究を行うことの意味
7. 「はじめに」のまとめとして

平和と脱原発を考えるためのメディア・リテラシー  今村和宏
1. はじめに
2. メディア・リテラシーの基本的な考え方
3. メディアから受ける影響
4. 現実を切り取り、再構成する際の取捨選択を左右する要素
4.1 社是、外部権力からの圧力、自主規制
4.2 商業的な判断、読者層(視聴者層)、地域性、媒体の特性
4.3 記者の興味、予算、時間の制約、わかりやすさ
4.4 掲載場所(放送時間帯)
4.5 社是の拘束力:産経新聞と東京新聞ではどちらが自由か
4.6 社内の力関係
4.7 「世論」(「世の中の空気」)
5. 同一メディア内の多様性
6. 主体的・批判的に読み解くための指針
7. 一次資料にあたる
8. 日本経済新聞は、原発推進の立場か?
9. 言語と視覚表現による印象操作を見抜く
10. 翻訳文による情報操作を見抜く

鹿児島県知事の川内原発再稼働承認記者会見について  野呂香代子
1. はじめに
1.1 安全神話
1.2 問題提起
2. 鹿児島県知事、再稼働承認記者会見の批判的談話分析
2.1 詳細分析のガイドライン
2.2 「再稼働承認」の論理構成
2.3 何が分かったか
2.4 何ができるか
3. まとめ
3.1 同じ土俵(同じ意味世界)で語ることができるのか、できないのか
3.2 虚構の日本語を現実社会に戻すにはどうすればいいか
3.3 対抗する談話

原発事故と原発をめぐる新聞の姿勢 —何が本当のところか—  神田靖子
1. はじめに
2. 原発推進派と脱原発・反原発派の新聞
3. 方法論
4. 各紙の背景
5. 読売新聞社説の分析
6. 読売社説と朝日社説の比較
7. 両紙の論証ストラテジー
8. まとめ

メディアリテラシーで斬る官の文言とクールジャパン政策  大橋 純
1. はじめに
2. 東日本大震災と原発事故
3. 官の立場の物言いと語用論
4. 枝野官房長官(当時)の記者会見での官の文言
5. 野田元首相の収束宣言と謝罪
6. 収束宣言からクールジャパン
7. おわりに

マスコミの言説に潜む誘導性 —NHK「時論公論」の場合—  庵 功雄
1. はじめに
2. ことばに反映する社会の潜在意識
3. 「見出し」の分析
(1)「時論公論」について
(2)「コーパス」を使った分析
(3)分析の手順
(4)歴史教科書の分析
4. 分析結果
(1) 分布と実例
(2)「中立的」「非中立的」
(3)メディアリテラシーの観点から
5. 「言論の自由」と「言論の義務」 —1.17、そして、3.11—
(1)「1.17」前後のテレビの報道時間数
(2)The Economist の記事
6. 何ができるのか
(1)日本語、中国語、韓国語の近接性
(2)日中韓3 言語相互習得を目指す言語教育
7. おわりに —「ことば」から希望を作りだそう—

特定秘密保護法に関する記者会見記事の批判的談話分析 —批判的リテラシーの重要性—  名嶋義直
1. はじめに
2. なぜ分析をするか、どう分析するか、なにを分析するか
3. 全体構造から見えてくるもの
3.1 見出しと主題とのずれ
3.2 話題の連鎖構造と論理
3.3 語の選択や表現の選択は全て意図的なもの
4. より個別の分析から見えてくるもの
4.1 焦点の切り替え
4.2 明示的表現と暗示的表現、肯定的な表現と否定的な表現
5. 誰かの意図と誘導
6. 私たちに求められるもの
6.1 批判的リテラシーを持つ
6.2 批判的リテラシーを育てる
6.3 批判的ということは寛容的であること

執筆者紹介

【編者紹介】
名嶋義直(なじま よしなお)
琉球大学 グローバル教育支援機構 国際教育センター教授。 主な共著に、名嶋義直・神田靖子編『3.11原発事故後の公共メディアの言説を考える』(ひつじ書房)、改憲をめぐる言説を読み解く研究者の会編『それって本当? メディアで見聞きする改憲の論理Q&A』(かもがわ出版)などがある。


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