祭りの年輪 大石泰夫 著 祭りの年輪 大石泰夫 著
2016年4月刊行

未発選書 25

祭りの年輪

大石泰夫著

装丁 萱島雄太

四六判上製カバー装  定価2,800円+税

ISBN 978-4-89476-814-7

ひつじ書房

Dendrochronology of Matsuri (Japanese Festivals)
Yasuo Oishi


【内容】
「祭り」は、語源からしてカミを抜きにしては存在しない行為であった。しかし、今日ではこの言葉は実にいろいろな行為に対して用いられており、それぞれが現代社会に重要な意味を持っている。これら現代の祭りには、あたかも〈年輪〉のように、伝承の過程で積み重ねられた行為が存在する。本書は、奈良県の葛城一言主神社の秋祭りや陸中沿岸の虎舞、岩手県のチャグチャグ馬コなどの様々な祭りをとりあげ、現代の視点に立って、その〈年輪〉を解きほぐすものである。



【目次】
緒論―本書の目的と構成

第一編 「神社・歴史・伝説」と祭り

第一章 古代ヤマトの信仰的世界観と神社の祭り

一、『延喜式』の御県神社・山口神社・水分神社
二、都祁水分神社と都祁山口神社の祭りと伝承
 1、遷座伝承をめぐって
 2、都祁水分神社と都祁山口神社の祭り
 3、都祁水分神社の分水嶺としての伝承
 4、都祁水分神社と都祁山口神社の信仰
三、そのほかの水分神社
 1、宇陀水分神社
 2、葛城水分神社
 3、吉野水分神社
結び―水分神社の信仰にみる世界観

第二章 葛城一言主神社の秋祭り

一、概況
 1、氏子圏の地理
 2、氏子地区の歴史と変遷
二、次第
三、氏子地区の諸相
 1、森脇
 2、宮戸
 3、西寺田
 4、豊田・名柄・多田・幸町
 5、東名柄・増・関屋
結び―祭りの構造と意義 
 
第三章 秋田県湯沢市の小野小町伝説と祭り

一、湯沢市の小町伝説
二、伝説の歴史的検証
 1、古代の小野氏
 2、中世の小野寺氏
 3、覚厳院と小町伝説
三、小町伝説と祭り
結び

第四章 陸中沿岸の虎舞考
序―陸中沿岸の虎舞の分布と概要
一、大槌町の虎舞
 1、吉里吉里虎舞
 2、安渡虎舞
二、二つの由来伝承―海を渡ってきた虎舞
結び―虎舞と類似芸能の関わりから

第五章 伊豆半島の三番叟の伝播と伝承

一、伊豆半島の三番叟の現状
二、伊豆の三番叟伝播の検討
 1、回遊する芸能
 2、「教える/教わる」関係の成立
 3、伝承組織(伝承母体)の存在
結び―これからの三番叟 
 
第六章 神社の祭礼としての花輪祭典

一、花輪祭りの名称と行事の流れ
二、幸稲荷神社と花輪神明社の歴史と信仰
 1、幸稲荷神社
 2、花輪神明社
三、幸稲荷神社と花輪神明社の祭り変遷―二つの神幸祭の統合
 1、幸稲荷神社の祭礼日の変遷
 2、花輪神明社の祭礼日
 3、幸稲荷神社の神輿を先導する花輪神明社の神輿
四、幸稲荷神社の祭りの構造―御休堂と朝詰め行事
 1、祭礼の前日―お籠もりと迎えの太鼓
 2、朝詰め行事
結び―花輪祭典の信仰的特徴
 
第二編 祭りの「現代と後継者」
 
第七章 イベントと民俗芸能

一、イベント化する祭り―チャグチャグ馬コ
 1、チャグチャグ馬コの背景
 2、昭和初期までのチャグチャグ馬コ―宮澤賢治の見たチャグチャグ馬コ
 3、蒼前詣りとパレード―石川啄木が見た蒼前詣り
 4、チャグチャグ馬コの蒼前詣りからパレードの行事へ
二、イベントとしての祭り―盛岡さんさ踊り
 1、「盛岡さんさ踊り」前史
 2、「盛岡さんさ踊り」の定着
 3、「盛岡さんさ踊り」の参加形態
結び―よさこい系踊りのイベントの行方 
 
第八章 祭りを支える外来の人々―津軽半島上磯の祭りと民俗芸能

一、荒馬と太刀振り
二、今別町の荒馬
 1、荒馬の概要
 2、起源伝承
 3、荒馬とネブタ祭りの担い手の変化
 4、全国に知れ渡った荒馬とその影響
結び

第九章 〈地域〉と民俗芸能―伝承のあり方を考える

一、民俗芸能をめぐる眼差しと対応
二、伝承を妨げるもの
三、地域とは何か―早池峰・黒森・鵜鳥神楽は〈どこ〉の芸能か?
四、何を伝承するのか
結び

参考文献一覧
あとがき
索引







【著者紹介】
大石泰夫(おおいし やすお)
1959年、千葉県生まれ。伊豆半島の三番叟から、大学生の参加するさんさ踊りまで、祭りと芸能のフィールドワーク、研究を行う。芸能が現場でどう伝承されるか、現在を生きる芸能とは何かを考え続けている。上代における文学も、祭りや宴席の現場で生まれたオーラル世界を基盤にした言語・芸能伝承だという考え方に立って、万葉集や古事記など上代文学を研究している。
現在、盛岡大学文学部教授。


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