判断のモダリティに関する日中対照研究 王其莉 著 判断のモダリティに関する日中対照研究 王其莉 著
2016年3月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第138巻

判断のモダリティに関する日中対照研究

王其莉 著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製函入  定価7,200円+税

ISBN 978-4-89476-808-6

ひつじ書房

Comparative Studies on Judgment Modality between Japanese and Chinese
Qili Wang


【内容】

判断のモダリティを表す日本語と中国語の対訳上対応関係にある形式の意味用法の共通点と相違点、および相違点が生じる要因を明らかにし、判断のモダリティから日本語と中国語の違いを提示する。文法カテゴリーに属する個々の「形式間の違い」を明らかにすることで、そこから「言語間の違い」を見出していく。これまでにない取り組みであり、言語の対照研究に有益な視点を提供する。


【目次】

  まえがき  

  I 序  

第1章 対照研究と本書の立場 
1.  対照研究とは  
2.  本書の立場 目的と方法  

第2章 モダリティに関する先行研究の概観  
1.  日本語のモダリティに関する先行研究  
2.  中国語のモダリティに関する先行研究  
3.  先行研究における日本語のモダリティと中国語のモダリティの
共通点と相違点  

第3章 本書の対象と構成  
1.  本書の対象  
2.  本書の構成  

  II 評価判断のモダリティ  

第4章 日本語の「なければならない」と中国語の“必须”  
1.  はじめに  
2.  先行研究  
3.  両形式の本質的な違い  
4.  両形式の本質的な違いによる使われ方の相違  
4.1  疑問文の場合  
4.2  事物発展の成り行きを表す場合  
4.3  真偽判断を表す場合  
5.  まとめと今後の課題  

第5章 日本語の「べきだ」と中国語の“应该”  
1.  はじめに  
2.  先行研究と本章の目的  
3.  両形式の用法分類  
3.1  中国語の“应该”について  
3.2  日本語の「べきだ」について  
3.3  ⅠⅡⅢの関係  
4.  仮説の提示 両形式における各用法の位置づけに関して  
5.  仮説の検証 用法Ⅲにおける両形式の違いから  
6.  まとめと今後の課題  

第6章 日本語の「てもいい」と中国語の“可以”  
1.  はじめに    
2.  先行研究と本章の立場  
3.  両形式の比較対照  
4.  まとめと今後の課題  

  III 真偽判断のモダリティ  

第7章 日本語の「だろう」と中国語の“吧”  
1.  はじめに  
2.  先行研究  
3.  考察  
3.1  日本語の「だろう」について  
3.2  中国語の“吧”について  
3.3  「だろう」と“吧”の相違点  
3.3.1  独り言の場合  
3.3.2  軽い問いかけの場合  
4.  まとめと今後の課題  

第8章 日本語の「かもしれない」と中国語の“也许” “可能”  
1.  はじめに  
2.  先行研究  
3.  用法の考察  
4.  ⅠⅡⅢの関係  
5.  3形式におけるⅠⅡⅢの位置づけ  
6.  3形式の主観性とその検証  
7.  まとめと今後の課題  

第9章 日本語の「はずだ」と中国語の“应该”  
1.  はじめに  
2.  先行研究  
3.  両形式の用法の概観  
3.1  基本的意味  
3.2  「見込み」用法と「悟り」用法  
4.  仮説の提示  
5.  「見込み」用法における両形式の相違点  
5.1  確認要求文における場合  
5.2  主観性の強弱  
5.3  人称制限  
5.4  現状を根拠として推論する場合  
5.5  副詞と共起する場合  
6.  まとめと今後の課題  

第10章 日本語の「ようだ」「らしい」と中国語の“好像”  
1.  はじめに  
2.  先行研究  
3.  日本語の「ようだ」「らしい」と中国語の“好像”の本質的な違い
3.1  日本語の「ようだ」と中国語の“好像”  
3.2  日本語の「らしい」と中国語の“好像”  
4.  本質的な違いから導かれる日中表現の相違  
4.1  根拠の性質  
4.2  用法の派生  
5.  まとめと今後の課題  

  IV 評価判断のモダリティと真偽判断のモダリティのかかわり  

第11章 評価判断のモダリティと真偽判断のモダリティのかかわり  
1.  はじめに  
2.  考察  
2.1  評価判断のモダリティと真偽判断のモダリティの交渉  
2.2  評価判断のモダリティと真偽判断のモダリティの相互承接  
2.3  評価判断のモダリティと真偽判断のモダリティの両方の用法を持つ形式  
3.  まとめと今後の課題  

第12章 日本語の「べきだ」「はずだ」と中国語の“应该”  
1.  はじめに  
2.  先行研究  
3.  3形式の意味用法  
3.1  中国語の“应该”について  
3.2  日本語の「べきだ」について  
3.3  日本語の「はずだ」について  
4.  分析  
4.1  5用法の意味関係  
4.2  なぜ「べきだ」「はずだ」には多義性が見られず、“应该”には多義性が見られるのか  
5.  まとめと今後の課題  

  V 様々な日本語表現と対応する中国語の“会”  

第13章 中国語の“会”について 「能力」「長じている」以外の意味を対象に  
1.  背景  
2.  “会”の意味用法と本章の考察対象  
3.  Ⅲ類の“会”に関する先行研究  
4.  “会”の本質に関する仮説  
5.  仮説の検証  
5.1  事態が繰り返し生起する場合(反復性)  
5.2  事態が1回生起する場合  
5.2.1  事態が超時に生起する場合  
5.2.2  事態が未来に生起する場合  
5.2.3  事態が過去に生起する場合  
6.  Ⅰ類の“会”とⅢ類の“会”の派生関係から考える仮説の妥当性  
7.  本章の独自性と立場  
8.  おわりに  

第14章 結論  
1.  第Ⅱ部と第Ⅲ部のまとめ  
2.  判断のモダリティから見る日本語と中国語の違い  
3.  本書の意義と今後の課題  

  初出一覧  
  参考文献  
  あとがき  
  刊行によせて  斎藤倫明  
  索引  





【著者紹介】
王其莉(おう きり)
1982年中国遼寧省遼陽市生まれ。2012年東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。東北大学大学院文学研究科専門研究員を経て、現在、西南学院大学言語教育センター助教。


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