コミュニケーションへの言語的接近 定延利之 著 コミュニケーションへの言語的接近 定延利之 著
2016年3月刊行 2018年5月軽装版刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第129巻

コミュニケーションへの言語的接近

定延利之 著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製函入  定価4,800円+税

ISBN 978-4-89476-762-1  
ISBN 978-4-89476-947-2(軽装版)

ひつじ書房

A Linguistic Approach to Communication

Toshiyuki Sadanobu



★重版に際し、ISBNコードを変更し、軽装版になりました★



書評が掲載されました
・『日本語の研究』第13巻4号(2017年10月)掲載
評者:野田春美
「従来のコミュニケーション観、それと結びつく発話観、言語観の問題点を指摘し、話しことばを無理なく収容できる新たなコミュニケーション観、それと結びつく発話観、言語観を提案するという大きな目的をもって成された刺激的な書」(p.109)


・『日本語文法』17巻2号(2017年9月)掲載
評者:橋本修


【内容】

本書は、現代日本語の話しことばの観察を通じて、「コミュニケーションとはお互いを理解するためのメッセージのやりとりだ」といった言語研究に広く深く浸透しているコミュニケーション観の問題点を明らかにし、それに取って代わる新しいコミュニケーション観の姿を追求したものである。言語研究がコミュニケーション研究にどのように貢献でき、コミュニケーション―言語―音声をつなぐ架け橋となり得るかが具体的に示されている。



【目次】

第1章 はじめに
1. この本が背景とする問題意識
2. この本の目的
3. この本の考察対象
4. この本の手法
5. この本の構成

第2章 前提
1. これまでのコミュニケーション観
2. 話しことば
 2.1 音声言語と文字言語
 2.2 話しことばと書きことば
  2.2.1 チェイフ、タネンらの考え
  2.2.2 但し書きと補足
   2.2.2.1 構造に関する但し書きと補足
   2.2.2.2 内容に関する但し書きと補足
   2.2.2.3 ストラテジーに関する但し書きと補足
3. 共通語と方言
4. 手法
 4.1  言語のセグメント部分だけでなく、それ以外にも視野を或る程度広げる
 4.2  自然発話のデータをなるだけ重んじるが絶対視はしない
 4.3  母語話者の内省をなるだけ重んじるが絶対視はしない

第3章 伝達を前提とするコミュニケーション観の批判的検討
1. 伝達を前提とするコミュニケーション観の問題1 「伝達者」の無権利性
2. 伝達を前提とするコミュニケーション観の問題2 特権性の容認不可能性
 2.1 「責任者」の特権性
  2.1.1 発見の「た」発話における「責任者」の特権性
  2.1.2 知識修正の「た」発話における「責任者」の特権性
  2.1.3 思い出しの「た」発話における「責任者」の特権性
  2.1.4 空気すすり・フィラー発話における「責任者」の特権性
 2.2 「体験者」の特権性
  2.2.1 命題の「た」発話における「体験者」の特権性
  2.2.2 りきみ発話における「体験者」の特権性
3. 伝達を前提とするコミュニケーション観の問題3 発話の可能性・必要性・丁寧さ
 3.1 発話の可能性
  3.1.1 フィラー「さー」発話の可能性
  3.1.2 フィラー「さー」発話に類似する発話の可能性
 3.2 発話の必要性
  3.2.1 感動詞「あ」発話の必要性
  3.2.2 感動詞「あ」発話に類似する発話の必要性
 3.3 発話の丁寧さ1(丁寧であること)
  3.3.1 接続詞「(それ)でしたら」発話の丁寧さ
  3.3.2 りきみ・空気すすり発話の丁寧さ
 3.4 発話の丁寧さ2(失礼であること)
  3.4.1  相手の発話を儀礼的に否定する際のあいづち「ほぅほぅ」発話の失礼さ
  3.4.2 挨拶を受ける際の感動詞「はい」「うん」発話の失礼さ
4. 伝達を前提とするコミュニケーション観の問題4 「強調」「やわらげ」依存過多
 4.1 「強調」「やわらげ」依存過多がもたらすもの
 4.2 ケーススタディ 【跳躍的上昇】の強調説をめぐって
5. 提案 「あからさまにやってみせる」という発話観
 5.1 「あからさまにやってみせる」とは?
 5.2  伝達を前提とするコミュニケーション観の問題点の解消
 5.3 予想される反論と再反論

第4章 意図を前提とするコミュニケーション観の批判的検討
1. 意図を前提とするコミュニケーション観の問題1 話しことばの誤用不可能性
2. 意図を前提とするコミュニケーション観の問題2 無目的発話
3. 意図を前提とするコミュニケーション観の問題3 役割語
 3.1 問題のありか
 3.2 役割語としての感動詞
 3.3 キャラ助詞
4. 意図を前提とするコミュニケーション観の問題4 キャラクタ
 4.1 キャラクタとは何か
  4.1.1 スタイル以上、人格未満の安定性
  4.1.2 冗談発話の例外性
  4.1.3 ことばとキャラクタの関わり方
 4.2 問題のありか
5. 意図を前提とするコミュニケーション観の問題5 言語現象の説明
 5.1 言語の歴史的変化の説明 「ら」抜きことばを例に
 5.2 言語の社会的分布の説明 ジャーゴンを例に
6. 伝達と意図を前提とするコミュニケーション観の検討
 6.1 フィラー「さー」再考
 6.2 イントネーション 【跳躍的上昇】再考
7. 提案 身体的な発話観
 7.1 「身体的な発話」とは?
 7.2 意図を前提とするコミュニケーション観の問題点の解消
 7.3 予想される反論に対して

第5章 共在を前提とするコミュニケーション観の批判的検討
1. 共在とインタラクション
 1.1 インタラクションとは何か?
 1.2 インタラクションが無い共在
2. インタラクションと言語表現
 2.1 対称性は完全代換の成否とは連動しない
 2.2 対称性は文や、文のあらゆる要素に想定できる
 2.3 対称性は程度問題である
 2.4 対称性は対称関係の種類を問わず想定できる
 2.5  対称性は複数個のモノ全般について想定可能である
 2.6 インタラクションと対称性
3. 意識のし合いが含まれるインタラクション
4. 共在と了解
 4.1 確信
  4.1.1 「確信」とは?
  4.1.2 人間が必ずしも確信に至れない場合の3 種
 4.2 「当事者間の了解」の遍在性 273
 4.3 「当事者間の了解」の検証不可能性
 4.4 物理的に共在している事物に対する直感的な感知
 4.5 「 当事者間の了解」の確信に必要とされる検証は発話のタイプごとに異なる
  4.5.1 他者の秘密を告発する発話の場合
  4.5.2  自己の秘密を隠しきれないと観念して切り出す発話の場合
  4.5.3 「良き市民どうし」の会話での発話の場合
 4.6 「当事者間の了解」は発話次第で変更できる
  4.6.1 副詞「やっぱり」
  4.6.2 分裂文
5. 提案 「当事者たちが「当事者間で共在が了解されている」と確信している際」
 5.1 慣習についての補足
 5.2 予想される反論に対して

第6章 行動を前提とするコミュニケーション観の批判的検討
1. コミュニケーション行動
2. 状況
3. 提案 暮らしとしてのコミュニケーション観
4. 予想される反論と再反論、補足
 4.1 終助詞「よ」「ね」「な」と状況との結びつき
 4.2 『江戸っ子の男』の終助詞「よ」と状況との結びつき
 4.3 感動詞と状況との結びつき
 4.4 他動性と状況との結びつき
 4.5 アニマシー(有生性)と状況との結びつき
 4.6 補足

第7章 おわりに

あとがき
言及文献
索引



【著者紹介】
定延利之(さだのぶ としゆき)
大阪府出身。京都大学大学院文学研究科博士後期課程言語学専攻修了。博士(文学)(1998年)。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。主な著書に『よくわかる言語学』(アルク、1999年)、『認知言語論』(大修館書店、2000年)、『ささやく恋人、りきむレポーター』(岩波書店、2005年)、『煩悩の文法』(筑摩書房、2008年)、『日本語社会 のぞきキャラくり』(三省堂、2011年)など。


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