手続き的意味論 武内道子 著 手続き的意味論 武内道子 著
2015年6月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第128巻

手続き的意味論

談話連結語の意味論と語用論

武内道子 著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製  定価7,800円+税

ISBN 978-4-89476-755-3

ひつじ書房

Procedural Semantics: Relevance Theory and Meaning

Michiko Takeuchi

【内容】
関連性理論は、語用論を解釈の学ではなく、認知科学として位置づけた。本書は、この認知語用論の枠組みによって、言語表現には、発話の命題内容に寄与するのでなく、解釈の方向を聞き手に指示する意味に特化している言語表現があることを示し、新しい意味論を提示する。日本語の談話連結語に例を求め、発話の命題内容ではなく、その解釈過程にいかなる制約を課すかという意味を論証している。著者の20年におよぶ研究の集大成である。



【目次】
はじめに

I 理論的基盤

第1章 関連性理論と伝達
1. はじめに
2. 言語的意味決定不十分性
3. 関連性志向と意図明示的推論的伝達
3.1 認知行動を律している原則
3.2 意図明示的推論的伝達
3.3 発話を律している原則
4. 明示的伝達と非明示的伝達
4.1 表意
4.2 推意
5. 高次表意
6. おわりに

第2章 関連性理論と手続きの記号化
1. 概念的情報と手続き的情報の区別
2. 非明示的内容への制約
3. 明示的内容への制約
3.1 表出命題への制約 代名詞と手続き
3.2 高次表意への貢献と制約
4. コンテクスト選択への制約
5. 真理条件性と概念的・手続き的意味の区別

II 関連性への意味論的制約
  I 部からII 部へ

第3章 文脈含意の導出〈どうせ〉
1. はじめに
2. 日本語文法学者の取り扱い
3. 〈どうせ〉の使用
4. 推意への制約
4.1 真理条件性
4.2 手続きの記号化
5. 結び

第4章 既存想定の強化〈しょせん〉
1. はじめに
2. 語の使用と関連性
2.1 表意と語の意味
2.2 概念表示と手続き計算
3. 〈しょせん〉発話の解釈
3.1 真理条件性 
3.2 〈しょせん〉発話の関連性
3.3 〈どうせ〉発話との比較
4. おわりに

第5章 共感と受容〈どうも〉
1. はじめに
2. 〈どうも〉発話とコンテクスト
3. 推意への制約
4. 結び

第6章 処理コンテクスト指示〈やはり・やっぱり〉
1. はじめに
2. これまでの扱い
3. 〈やはり〉発話のコンテクスト
4. 手続きの記号化
5. 推意への制約と帰属された思考
6. 結び

第7章 次へ続く関係指示〈それで〉
1. はじめに
2. 〈それで〉の先行研究
3. 〈それで〉の使用
3.1 因果関係
3.2 再構築・精密化・明確化
3.3 逆接関係
3.4 発話行為因果関係
4. 〈それで〉の新しい分析
4.1 〈それで〉は談話連結語である
4.2 〈それで〉発話の解釈
4.3 〈それで〉と関連性
5. 〈そして〉連言文
5.1 最小の意味論
5.2 〈そして〉発話の分析
5.3 〈そして〉発話と関連性
6. 〈それで〉と〈そして〉の違い
6.1 受容性の違い
6.2 処理単位の違い
6.3 違いのまとめ
7. 残された問題

第8章 期待否認の2 重の手続き〈けど〉と〈でも〉
1. 日本語の譲歩表現
2. 使用例
3. 手続き的意味
4. 〈けど〉と〈でも〉の意味論
4.1 共通の意味
4.2 〈けど〉と〈でも〉の違い
4.3 コンテクスト選択への制約
5. 結び 手続き的情報の精密化

第9章 表出命題態度への制約〈ぜんぜん〉
1. 本章のテリトリー
2. 〈ぜんぜん〉の意味
2.1 〈まったく〉との共通の意味
2.2 「ナイ」はどこにあるのか
2.3 明示的側面か非明示的側面か
2.4 概念的か手続き的か
3. 〈まったく〉の意味
3.1 〈ぜんぜん〉との違い
3.2 概念か手続きか
4. 〈ぜんぜん〉発話の解釈
4.1 〈ぜんぜん〉の手続き的制約
4.2 例証
5. 結び 手続き的情報の広がりと認知

第10章 ポライトネス表明〈どうぞ〉と〈どうか〉
1. はじめに
2. 意図明示的推論的伝達と敬意表現
2.1 記号化された敬意
2.2 記号化されていない敬意
3. 命令発話の関連性
4. 〈どうぞ〉と〈どうか〉の意味論
4.1 発話例
4.2 聞き手上位のポインタ 共通の意味
4.3 望ましさは誰のものか
4.4 〈どうぞ〉と〈どうか〉はどう違うか
5. ポライトネスと認知

第11章 因果関係の背景化と前景化〈から〉と〈ので〉
1. はじめに
2. 永野説とその周辺の議論
2.1 客観性と主観性をめぐって
2.2 共通の問題
3. 〈から〉と〈ので〉の意味論
3.1 明示的記号化
3.2 真理条件性
4. 〈から〉と〈ので〉の違いはどこにあるか
4.1 話し手の主張はどこに?
4.2 〈から〉と〈ので〉の手続き的情報
5. 結び

第12章 条件節の意味論と語用論1 最小の意味論〈ば〉
1. はじめに
2. 〈れば〉と〈たら〉の用法
3. 〈ば〉の意味論
4. 〈ば〉の語用論
5. 命令の〈ば〉
6. 結び

第13章 条件節の意味論と語用論
〈れば〉、〈たら〉、〈なら〉はどう違うか
1. はじめに
2. 発話例
2.1 〈なら〉*〈たら〉*〈れば〉
2.2 〈たら〉〈れば〉*?〈なら〉
2.3 〈たら〉*?〈れば〉
2.4 〈れば〉*?〈たら〉
2.5 〈なら〉〈たら〉〈れば〉
3. 〈なら〉 メタ表示マーカー
4. 〈たら〉と〈れば〉の違い
5. 手続きの記号化
6. 結び


おわりに
初出一覧
参照文献
索引



【著者紹介】
武内道子(たけうち みちこ)
MA(国際基督教大学、Indiana University)。埼玉工業大学助教授、神奈川大学教授を経て、2010年より同大学名誉教授。
(主な著書・訳書)『ひとは発話をどう理解するか―関連性理論入門』(1994、共訳、ひつじ書房)、『副詞的表現をめぐって—対照研究』(2005、編著、ひつじ書房)、『思考と発話—明示的伝達の語用論』(2008、共訳、研究社)、『発話と文のモダリティ—対照研究の視点から』(2011、共編著、ひつじ書房)他。


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