診療場面における患者と医師のコミュニケーション分析 植田栄子著 診療場面における患者と医師のコミュニケーション分析
植田栄子著
2014年2月

診療場面における患者と医師のコミュニケーション分析

植田栄子著

A5判上製 定価9,800円+税

ISBN 978-4-89476-686-0

ひつじ書房

Patient-Doctor Communication: A Discourse Analytical Approach

Teruko UEDA

本書は、医療コミュニケーションの中でも最も基本となる一般外来診療場面に注目し、計量的・質的アプローチの両面から実証研究を行う。78の実際の診療場面について、患者-医師、東京-大阪、男性患者-女性患者を対照分析し、その分析法(RIAS)のカテゴリー化の問題(多重性、多義性、非明確性)等の批判的検討を行い改善案を提示。さらに、ラポール(絆)構築とコンフリクト回避の構造を相互行為的にケース分析で明らかにした。


目次

まえがき
図表リスト
 
第1章 序論
 1.1 研究の背景
 1.2 本書の目的と意義
 1.3 本書の構成
第2章 医療談話に関する先行研究および鍵概念
 2.1 計量的分析手法
  2.1.1 先駆的手法の概略
  2.1.2 RIASの概略
  2.1.3 RIASの先行研究
 2.2 質的分析手法 
  2.2.1 社会言語学領域
  2.2.2 会話分析(CA)領域
  2.2.3 医療人類学領域
 2.3 医療談話に関する鍵概念
  2.3.1 医療コミュニケーションの特徴
  2.3.2 患者―医師関係の変遷
  2.3.3 患者と医師の非対称性

第3章 RIASによる分析
 3.1 RIASの概略
 3.2 RIASの目的
 3.3 分析対象と方法
  3.3.1 データの収集
  3.3.2 データの概要
  3.3.3 分析方法
 3.4 集計結果の概要
  3.4.1 コーダー間の信頼性
  3.4.2 診療談話の特徴・総発話数・診療時間
  3.4.3 診療談話の各カテゴリー間の比較
  3.4.4 各カテゴリー間の相関関係
 3.5 診療談話の考察
  3.5.1 患者―医師間の関係性
  3.5.2 地域差および性差の影響
  3.5.3 医師発話における東京と大阪の地域差の影響
  3.5.4 患者発話における東京と大阪の地域差および性差の影響
  3.5.5 RIASの応用的価値
 3.6 RIASの有効性と限界性
  3.6.1 有効性
  3.6.2 限界性

第4章 RIASのカテゴリー化に対する批判的検討
 4.1 カテゴリー化の理論的背景
  4.1.1 認知言語学からみたカテゴリー化
  4.1.2 RIASにおけるカテゴリー化
 4.2 コード化の方法論的不備
  4.2.1 「直感」による判断
  4.2.2 コード化の基本的規則
  4.2.3 3つのカテゴリー分析
 4.3 カテゴリー「確認」の多重性
  4.3.1 「確認」の定義
  4.3.2 「確認」の補足定義
  4.3.3 「確認」にみられる共同発話の機能
  4.3.4 考察
 4.4 カテゴリー「笑い」の多義性
  4.4.1 クラスター「肯定的応答」のカテゴリー定義
  4.4.2 クラスター「肯定的応答」の問題点
  4.4.3 「笑い」の多義性
  4.4.4 考察
 4.5 カテゴリー「共感」の非明確性
  4.5.1 「共感」の定義
  4.5.2 「共感」の拡大定義
  4.5.3 「共感」の非明確性
  4.5.4 明示的共感と非明示的共感の比較
  4.5.5 考察

第5章 RIASのイデオロギーに対する批判的検討
 5.1 言語イデオロギー
  5.1.1 要素還元主義的分析の限界
  5.1.2 言及指示的機能と社会指標的機能
  5.1.3 コード化および数値化
  5.1.4 発話単位の設定
  5.1.5 パラ言語的要素の解釈
 5.2 医師中心の近代医療イデオロギー
  5.2.1 病いと疾患の違い
  5.2.2 制度化される医療
  5.2.3 医師の権威と専門性
  5.2.4 患者の権利と非専門性

第6章 相互行為的談話分析による試案
 6.1 分析試案
  6.1.1 分析の目的
  6.1.2 社会言語学的分析観点
 6.2 相互行為によるラポール構築のケース分析
  6.2.1 ラポール構築の分析目的
  6.2.2 ラポール構築の定義
  6.2.3 先行研究の課題
  6.2.4 相互行為的談話分析
  6.2.5 コミュニケーション・パターン
 6.3 相互行為によるコンフリクト回避のケース分析
  6.3.1 コンフリクトの分析目的
  6.3.2 コンフリクト回避の定義
  6.3.3 先行研究の課題
  6.3.4 相互行為的談話分析
  6.3.5 コミュニケーション・パターン

第7章 結論

付表
参考文献
あとがき
索引

                                                                                                                                                                                                                                                                                  

著者紹介
植田栄子(うえだ てるこ)
〈略歴〉1981年上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業、三菱商事勤務を経て、1990年国際交流基金日本語教育専門家としてタイ国立カセサート大学赴任。 1994年東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻修士課程入学。1996年修士号取得(学術)、同博士課程進学、同年よりロータリー財団奨学金を得て米ジョージタウン大学大学院博士課程社会言語学専攻留学、その後東京大学総合文化研究科博士課程満期退学。2006年了徳寺大学専任講師、2007年准教授。2008年立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士課程入学、2012年博士号取得(学術)。社会言語学の視点からコミュニケーションの計量的・質的分析や教育に取り組んでいる。
〈主な著書・論文〉「社会言語学から見た医療コミュニケーション」『医療コミュニケーション:実証研究への多面的アプローチ』(篠原出版新社、2009年)、「診療における医師と患者の疾病観に関する談話分析」『ことばと人間』第9号(「言語と人間」研究会、2013年)など。



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