ひつじ書房 長崎方言からみた語音調の構造 松浦年男著 長崎方言からみた語音調の構造 松浦年男著
2014年3月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第120巻

長崎方言からみた語音調の構造

松浦年男 著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製 244頁 定価6,800円+税

ISBN 978-4-89476-681-5

ひつじ書房

Word Prosodic Structure from the Perspective of Nagasaki Japanese

Toshio Matsuura



☆第42回金田一京助博士記念賞 受賞☆

書評が掲載されました
『日本語の研究』第13巻4号(2017年10月)掲載
評者:木部暢子
「長崎方言の音調規則を記述しながら、実は、日本語のアクセント、音調全体に対して強い示唆を与える内容となっている」(P.101)



内容紹介
長崎方言の語音調(アクセント・トーン)について、フィールドワークによって得られた資料をもとに、幅広い範囲の語種における分布を体系的に記述する。そして、音調体系の異なる東京方言との比較を通して両方言で共通して見られる特徴を明らかにし、単語トーンと分類される言語にも抽象的なレベルにはアクセントの表示があるという説を唱え、その妥当性を示す。巻末には約2000語からなるアクセント資料を収録する。

目次


第1章 序論
1. 研究の背景と目的
2. 長崎方言の音調体系と類型論的位置付け
2.1 長崎方言の音調体系
2.2 類型論的に見た長崎方言の音調
3. 本書の概要
3.1 長崎方言における音調の音声学的特徴
3.2 長崎方言におけるトーンの規則性
3.2.1 外来語のトーンに見られる規則性
3.2.2 複合語のトーンに見られる規則性
3.2.3 二字漢語、人名、アルファベット関連語彙のトーンに見られる規則性
3.2.4 和語におけるトーンの分布
4. 調査について
4.1 話者の情報
4.2 調査方法

第2章 語音調の音響音声学的記述と音声表示
1. 語音調の音声的記述に見られる問題点
2. 長崎方言の音声実現
3. 調査手順
3.1 録音資料
3.2 手順
3.3 F0 の分析方法
4. A 型の音響音声学的記述
4.1 韻律語が2 モーラの場合
4.2 韻律語が3 モーラ以上の場合
4.3 A 型の音声表示
5. B 型の音響音声学的記述
5.1 ピークの位置
5.2 初頭2 モーラ間の上昇
5.3 末尾2 モーラ間の上昇
5.4 F0 の幅
5.5 B 型の音声表示
6. 音声表示の提案 まとめ

第3章 外来語の音調現象とアクセント規則
1. 諸方言における外来語音調の分布
1.1 外来語音調の通方言的傾向 下降調の優位性
1.2 鹿児島方言の外来語トーン
2. 長崎方言における外来語トーンの分布
2.1 外来語トーンに関する調査概要
2.2 外来語トーンと語の長さ
2.3 長崎方言の外来語トーンと東京方言のアクセント
3. 外来語のトーンと音韻構造
3.1 コピーか規則か?
3.1.1 東京方言における外来語の平板式条件
3.1.2 平板式条件と長崎方言のトーン
3.1.3 基本アクセントによる説明とその問題点
3.2 音節構造と外来語のトーン
3.2.1 音節構造と東京方言のアクセント
3.2.2 音節構造と長崎方言のトーン
3.3 特殊モーラの聞こえ度と外来語のトーン
3.3.1 特殊モーラの聞こえ度と東京方言のアクセント
3.3.2 特殊モーラの聞こえ度と長崎方言のトーン
3.4 語末音節の母音の聞こえ度と外来語のトーン
3.4.1 語末音節の母音の聞こえ度と東京方言のアクセント
3.4.2 語末音節の母音の聞こえ度とトーン
3.5 次末音節の母音の聞こえ度と外来語のトーン
3.5.1 次末音節の母音の聞こえ度と東京方言のアクセント
3.5.2 次末音節の母音の聞こえ度とトーン
3.6 まとめ
4. 規則による記述
4.1 外来語トーンの基底形
4.2 外来語トーンの規則と派生
5. 外来語におけるトーンの分布と音韻規則 まとめ

第4章 複合語の音調現象と境界アクセント
1. 例外的複合語トーンに関する2 つの仮説
1.1 平山の法則と例外的複合語トーン
1.2 全体仮説
1.3 前部要素仮説
2. 複合語のトーンを決める要因
2.1 話者
2.2 調査語彙
2.3 予測
2.4 調査結果と仮説の評価
2.4.1 全体仮説の評価
2.4.2 前部要素仮説の評価
2.5 まとめ
3. 規則による記述
3.1 例外的複合語における3 つの問題点
3.2 複合語と外来語のトーン
4. 複合語に関する規則群 まとめ
4.1 まとめ
4.2 今後の課題

第5章 音調現象と語彙的指定
1. 問題点の整理
1.1 鹿児島方言における平山の法則
1.2 後部要素とアクセント
2. 二字漢語のトーン
2.1 調査1 実在語
2.1.1 調査概要
2.1.2 前部要素のトーンと二字漢語のトーン
2.1.3 後部要素とトーン
2.2 調査2 臨時語
2.2.1 調査概要
2.2.2 前部要素とトーン
2.2.3 後部要素とトーン
2.3 二字漢語の基底形と規則
3. 人名のトーン
3.1 人名のトーンの規則性
3.1.1 調査概要
3.1.2 全体の長さとトーン
3.1.3 前部要素とトーン
3.1.4 後部要素とトーン
3.2 人名のトーンの基底形と規則
3.2.1 基底形
3.2.2 派生
3.3 まとめ
4. アルファベット関連語彙のトーン
4.1 他方言におけるアルファベット関連語彙の音調
4.1.1 標準語
4.1.2 鹿児島方言
4.2 アルファベット頭文字語のトーン
4.2.1 方法
4.2.2 結果
4.2.3 考察
4.3 アルファベット複合語のトーン
4.3.1 方法
4.3.2 結果
4.4 アルファベット関連語彙の基底形と規則
4.5 まとめ
5. 形態素に対するアクセント指定と音韻規則 まとめ

第6章 和語の音調現象
1. 和語における語音調の規則性
1.1 類別語彙
1.2 音節構造、形態構造、聞こえ度とアクセント
2. 長崎方言の和語におけるトーンの分布
2.1 調査概要
2.2 東京方言のアクセントとの対応関係
2.3 音節構造とトーン
2.4 母音の聞こえ度とトーン
3. まとめ

第7章 語音調の音韻過程 まとめと今後の課題
1. 長崎方言における語音調の構造
2. 今後の課題
2.1 オノマトペの音調現象
2.2 世代差および標準語(東京方言)との対応
2.3 句レベルの音調現象
2.4 音調の類型論

付録
引用文献
あとがき
索引


著者紹介
松浦年男(まつうら としお)
1977 年東京都墨田区に生まれる。大東文化大学外国語学部日本語学科を卒業後、九州大学大学院人文科学府(言語学専修)に進学。博士(文学)。北星学園大学文学部専任講師を経て、現在、同大学准教授。




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