ひつじ書房 平安期日本語の主体表現と客体表現 高山道代著 平安期日本語の主体表現と客体表現 高山道代著
2014年2月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第119巻

平安期日本語の主体表現と客体表現

高山道代 著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製 200頁 定価6,400円+税

ISBN 978-4-89476-680-8

ひつじ書房

Subject and Object of the Japanese Language in the Heian Period

Michiyo Takayama



本書は平安期日本語動詞述語文の主要な格である主語表示および対象語表示の形態についての記述的研究の成果であり、この時代の日本語における名詞句の格システムの一端を明らかにしたものである。さらに、名詞句の文法的諸側面について類型学的な観点もとりいれ分析を加えることによって、平安期日本語の主体表現と客体表現の特徴を明らかにし、古代日本語研究への提言をおこなう。


目次

まえがき

第1章 研究対象としての格
1. 研究の背景として
2. 格をめぐる理論的研究史
3. 本書の立場
4. ハダカ格
5. 主語の分析にあたって
6. 動詞の分類にあたって
7. 主体表現および客体表現の枠組み

第2章 古代日本語の名詞の格に関する研究
1. 対象語をあらわす名詞の格に関する先行研究
2. 主語をあらわす名詞の格に関する先行研究

第3章 ハダカ格と有助辞格I 主語標示
1. 主体変化動詞とむすびつく主語名詞
1.1 変化
1.1.1 物の変化
1.1.2 人の変化
1.1.3 事の変化
1.2 出現
1.2.1 物の出現
1.2.2 人の出現
1.2.3 事の出現
1.2.4 現象の出現 「事の出現」のむすびつきの周縁として
2. 主体動作動詞と主語名詞
2.1 主体(=人)の動作
2.1.1 人の動作
2.1.2 相互動作
2.1.3 人の無意志的動作
2.2 主体(=もの)の動作
3. 主体動作主体変化動詞と主語名詞
3.1 移動
3.1.1 物の移動
3.1.2 人の移動
3.2 とりつき
3.3 生理的な動き

第4章 ハダカ格と有助辞格II 対象語標示
1. 主体動作客体変化動詞とむすびつく対象語
1.1 変化
1.1.1 物の変化
1.1.2 人の変化
1.1.3 事の変化
1.2 出現
1.2.1 物の出現
1.2.2 人の出現
1.2.3 事の出現
1.2.4 現象の出現 「事の出現」のむすびつきの周縁として
1.3 移動
1.3.1 物の移動
1.3.2 人の移動

第5章 主体表現と客体表現の対応をめぐって
1. 主体変化動詞の主語と主体動作客体変化動詞の対象語
1.1 変化
1.1.1 物の変化
1.1.2 人の変化
1.1.3 事の変化
1.2 出現
1.2.1 「物の出現」における主体と客体
1.2.2 「人の出現」における主体と客体
1.2.3 「事の出現」における主体と客体
1.2.4 「現象の出現」における主体と客体
1.2.5 「出現」のむすびつきをとおして
2. 主体動作主体変化動詞の主語と主体動作客体変化動詞の対象語
2.1 「物の移動」における主体と客体
2.2 「人の移動」における主体と客体
2.3 「移動」の主体表現、客体表現をとおして
2.4 主体表現と客体表現の対応
3. 統語構造上の対応と連語の対応
4. 言語類型学的視点から
4.1 はじめに
4.2 古代語におけるハダカ格
4.3 主体動作客体変化動詞と主体動作動詞の主語
4.4 主体変化動詞の主語標示
4.5 主体動作客体変化動詞の対象語標示
4.6 言語タイプとしての古代日本語

第6章 主体表現と客体表現の中心と周辺
1. 対象語標示の形態とその機能
1.1 動詞の作用性と対象語標示の形態
1.2 ヲ格とハダカ格の対照から見えるもの
1.3 名詞の語彙的意味からみた対象語標示の形態
1.4 客体表現の中心と周辺
2. 主語標示の形態とその機能
2.1 動詞の作用性と主語標示の形態
2.2 名詞の語彙的意味からみた主語標示の形態
2.3 主体表現の中心と周辺
3. ハダカ格のあらわすものと有助辞格のあらわすもの

第7章 有標識形態があらわすもの
1. ノ格とガ格の類似性と相違性
1.1 ノ格とガ格を対照するにあたって
1.2 述語動詞の文法的タイプからみたノ格とガ格
1.3 構文的環境(句のタイプ)からみたノ格とガ格
1.4 主体変化動詞のつくる節
1.4.1 ノ格
1.4.2 ガ格
1.5 主体動作動詞のつくる節
1.5.1 ノ格
1.5.2 ガ格
1.6 主体動作客体変化動詞のつくる節
1.6.1 ノ格
1.6.2 ガ格
1.7 構文的環境における類似性と相違性
1.8 主語名詞の語彙的意味からみたノ格とガ格
1.8.1 主体変化動詞の主語標示としてのノ格とガ格
1.8.2 主体動作動詞の主語標示としてのノ格とガ格
1.8.3 主体動作客体変化動詞の主語標示としてのノ格とガ格
1.8.4 主語名詞の語彙的意味における類似性と相違性
1.9 おわりに
2. 人名詞を主語標示する場合のノ格とガ格の相違
2.1 人名詞の文法的意味区分
2.1.1 ハダカ格
2.1.2 ノ格
2.1.3 ガ格
2.2 人・普通名詞における特定性
2.3 おわりに
3. 平安期日本語における対象語標示のヲ格再考 形態論および統語論的側面から
3.1 はじめに
3.2 語彙・文法的側面における有標対象語とヲ格
3.3 問題の所在
3.4 対象語名詞句の語構造上の形態とヲ格
3.5 文構造における述語動詞との先後関係(語順)とヲ格の現れ
3.5.1 単純名詞句形対象語の場合
3.5.2 準体句形対象語の場合
3.5.3 Miyagawa. S (1989)、金水敏(1993)の検討
3.6 ヲ格対象語の機能上の有標性
3.7 おわりに

 参考文献
あとがき
索引


著者紹介
高山道代(たかやま みちよ)
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。現在、宇都宮大学国際学部准教授。 [主な論文]「古代日本語のヲ格があらわす対格表示の機能について—ハダカ格との対照から—」(『国文学 解釈と鑑賞』70-7、2005年)、「平安期日本語における動詞述語文の主語標示—ノ格とガ格のふるまいから」(『日本語形態の諸問題』ひつじ書房、2010年)など。



ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。
書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。

 

 



お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
送料432円でお送りします。
新刊案内へ
ひつじ書房ホームページトップへ