ひつじ書房 名詞句とともに用いられる「こと」の談話機能 金英周著 名詞句とともに用いられる「こと」の談話機能 金英周著
2014年2月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第118巻

名詞句とともに用いられる「こと」の談話機能

金英周 著

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

A5判上製 168頁 定価4,800円+税

ISBN 978-4-89476-679-2

ひつじ書房

The Discourse Function of koto Used with a Noun Phrase

Youngju Kim



日本語の話し言葉には、「ねえ、ちょっとそこの栓抜きとって」「栓抜き?ああ、これのことか」のように、名詞句に一見なんの意味も持たない「〜のこと」が付加された形が頻繁に現れる。本書では、なぜ、このようなノコトが使用されるのかという疑問について検討し、ノコトは談話において、話し手と聞き手が「知らないこと」と「知っていること」を結びつける際に使用される、知識管理の標識であるという明快な答えを見出した。


目次



第1章 「名詞句のこと」を巡る問題
1. なぜ名詞句とともに「こと」が現れるのか
2. 三つの問題
3. 本書の構成

第2章 「名詞句のこと」の意味
1. 述語の補語として現れる「名詞句のこと」
2. 「名詞句のこと」と補文との対応関係
2.1 「こと」節に対応する場合
2.2 「か(どうか)」節に対応する場合
2.3 「ように」節に対応する場合
3. 「名詞句のこと」とモダリティ
3.1 モダリティの規定
3.1.1 文を単位としたモダリティの定義
3.1.2 従属節のモダリティ
3.1.3 文の「依存関係構造」とモダリティ
3.1.4 広義の概念としてのモダリティ
3.2 補文標識とモダリティ
3.2.1 従属節と主節のモダリティの連続性
3.2.2 従属節の補文標識と主節述語の意味的カテゴリーとの相関関係
3.3 「名詞句のこと」のモダリティ
4. 本章のまとめ

第3章 「名詞句のこと」と「こと」節の相違
1. 「こと」の使用上の制限
2. 「名詞句のこと」の意味
2.1 名詞句への「コト性」の補充
2.2 名詞句の指示対象の「属性の集合」
3. 「こと」節の意味
4. 「こと」節と「名詞句のこと」の意味
4.1 「命題」の細分化
4.2 「こと」節の二つの意味
4.3 「こと」節の意味と「名詞句のこと」の意味
4.4 「コト名詞」との置き換え
4.5 「という」の挿入
5. 本章のまとめ

第4章 談話における「名詞句のこと」の機能
1. 談話に現れる「名詞句のこと」
2. 「名詞句のこと」の現れる構文上の位置
2.1 心的行為述語の補部
2.2 コピュラ (copula) 文の述部
3. 「名詞句のこと」の意味に関する問題点
3.1 属性の集合
3.2 定性(definiteness)のマーカー
3.3 個体のタイプ上昇(individual sublimation)
3.4 意味論的分析の限界と語用論的分析の可能性
4. 談話における知識管理と「名詞句のこと」
4.1 メンタル・スペース理論
4.1.1 理論の概要
4.1.2 コピュラ文の「スペース間的用法」
4.2 談話管理理論
4.2.1 談話における知識管理
4.2.2 談話における共有知識と「名詞句のこと」
4.3 コピュラ文に現れる「名詞句のこと」の談話機能
4.4 心的行為述語の補部に現れる「名詞句のこと」の談話機能
4.5 第4節のまとめ
5 本章のまとめ

第5章 「こと」の意味の拡張と派生
1. 意味内容
1.1 補文との対応関係からみた「名詞句のこと」の意味
1.2 「こと」節との対応関係からみた「名詞句のこと」の意味
1.3 「名詞句のこと」と「こと」節の意味領域
2. 談話機能
2.1 「こと」の談話機能
2.2 「こと」について新たにわかったこと
3.異なる「こと」間の関係

 参考文献
 あとがき
 索引


著者紹介
金英周(キム ヨンジュ)
広島大学大学院教育学研究科特任助教。主な論文:Reference Resolution in Discourse with Multiple Knowledge Representations: A View from NP-no-koto in Japanese. Japanese/Korean Linguistics, Vol.21, 2013(共著)、「韓国語ソウル方言における上昇下降音調の語用論的機能̶日本語東京方言の終助詞「よ」との比較を通して」『電子情報通信学会技術研究報告』Vol.113 No.174, 2013 など。



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