ひつじ書房 英語副詞配列論—様態性の尺度と副詞配列の相関 鈴木博雄著 英語副詞配列論—様態性の尺度と副詞配列の相関 鈴木博雄著
2014年2月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第116巻

英語副詞配列論—様態性の尺度と副詞配列の相関

鈴木博雄 著

A5判上製 336頁 定価8,000円+税

ISBN 978-4-89476-677-8

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

ひつじ書房

Adverb Placement and Scale of Manner in English

Hiroo Suzuki



「様態性の尺度」を中核に据え、豊富な用例の緻密な解釈を踏まえながら、英語副詞の統語的生起実態と意味的連続性を解明する。副詞のカテゴリーや統語・意味現象の違いに応じて、統語論、機能文法論、語彙意味論、形式意味論等の知見を的確に援用し、独創的な叙述・修飾構造論を構築する。副詞のカテゴリー別習得順序を究明するための原動力にも結びつけることができる、英文法論における副詞論を再考する一冊。


目次

まえがき

第1章 英語副詞研究史における本書の位置づけ
1. はじめに
2. 1960 年以降の英語副詞論の総括
2.1 統語論的アプローチ
2.1.1 副詞配置論
2.1.2 副詞認可論
2.2 意味論的アプローチ
2.2.1 機能論的副詞論
2.2.2 形式意味論的副詞論
2.2.3 語彙意味論的副詞論
3. 本書の構成

第2章 副詞の様態性を支える意味論的基盤
1. はじめに
2. 様態副詞の範囲
2.1 様態副詞の中核的機能
2.2 副詞の二次様態性 [視点]の場合
2.3 副詞の疑似様態性 [付帯性B]の場合
2.4 まとめ
3. 動詞の内部構造と副詞の様態性
3.1 動詞の意味特性と様態成分の具現化
3.2 MOTION/REST 型動詞
3.2.1 概念構造に様態成分を内蔵している他動詞
3.2.2 [Locus]との共起が義務的である他動詞 ①
3.2.3 [Locus]との共起が義務的である他動詞 ②
3.2.4 使役性が認められるMOTION型動詞
3.2.5 「開閉」を表す動詞
3.2.6 上必要な移動を含意する能格動詞
3.2.7 [Locus]を項として要求する非対格動詞
3.3 AFFECT/GIVING 型動詞
3.4 CORPOREAL 型動詞
3.5 Primary B 型動詞 CORPOREAL 型動詞との意味的連続性と異質性(肉体vs. 精神)
3.6 まとめ
4. 動詞概念構造と副詞の様態性相関分析の功罪
4.1 動詞の概念構造における様態成分と副詞の様態性が調和しない場合
4.2 動詞の概念構造が様態副詞の主語指向解釈を反映しない場合
4.3 まとめ
5. 様態副詞と事象の相関 様態成分の事象への組み込み
6. 様態規則の前提としての副詞の事象数量化機能 量化副詞の場合
7. 様態規則の前提としての副詞の事象数量化機能 様態副詞の場合
8. 様態規則による「様態」解釈の論理表示
9. おわりに

第3章 様態副詞の位置的特性 文末、文中央部、文頭
1. はじめに
2. 最小のVP 内付加部における様態副詞
2.1 様態副詞の無標位置としての文末
2.1.1 動詞と様態副詞の配列
2.1.2 様態副詞が最小のVP 内付加部に生起するための条件
2.2 「結果状態」を表す様態副詞の機能 事象完結一時取消機能
2.2.1 様態規則から帰結される副詞の生起環境 結果副詞と結果形容詞の表層上の生起環境が類似しているのは何故か?
2.2.2 結果副詞と様態規則
2.2.3 概念構造における結果副詞と結果形容詞の叙述対象の表示
2.2.4 Geuder(2000)における「結果名詞化(result nominalization)」
2.2.5 結果副詞と事象完結一時取消機能
2.3 まとめ
3. 文中央部における様態副詞と主語指向副詞の機能統語論的特性
3.1 様態副詞と主語指向副詞の分布特性
3.2 文中央部副詞の解釈の曖昧性と一義性
3.3 まとめ
4. 文頭の様態副詞
4.1 論題設定の背景と実例考察
4.2 様態副詞の文頭生起条件
5. おわりに

第4章 状況副詞句の機能論的特性
1. はじめに
2. 状況副詞句の一般的特性
2.1 前置詞による状況副詞句の細分化
2.1.1 空間概念から非空間概念への投射
2.1.2 群前置詞による意味役割変更
2.2 文末における状況副詞句の機能
2.2.1 文末状況副詞句配置の基礎 「動詞+空間+時間」配列
2.2.2 状況副詞句の文副詞化現象
2.3 まとめ
3. 文頭状況副詞句の機能論的特性 一般論
3.1 文頭状況副詞句の派生
3.2 文頭状況副詞句の分類と機能論的特性
4. 文頭状況副詞句の機能論的特性 実例による検証
4.1 文頭状況副詞句が先行事象の内容を敷衍する場合 先行事象と後続事象の論理的な結束化
4.2 文頭状況副詞句が先行事象の内容を敷衍しない場合
4.3 同一文中における複数の文頭配置候補の絞り込み
4.4 まとめ
5. 文中央部、文末における挿入的状況副詞句の機能論的特性
5.1 英語挿入副詞句を含む文の派生
5.2 挿入副詞句のサスペンス効果
5.3 文中央部、文末における状況副詞句の機能論的特性 フレームに視点を置いたサスペンス効果・バックトラック効果の現れ方の考察
5.3.1 文中央部における状況副詞句
5.3.2 文末における状況副詞句
5.4 まとめ
6. おわりに

第5章 状況副詞句による多重主題形成
1. はじめに
2. 文頭状況副詞句の多重主題現象
3. 状況副詞句と主語NP による多重主題構造
4. 主語NP と副詞分布の相関
4.1 接続話題としての文頭副詞句
4.2 副詞のVP 境界形成機能
5. 英語状況副詞句が主語NP の情報特性に与える影響
5.1 主語NP と状況副詞句による多重主題構造の派生概要
5.2 VP 境界が副詞と主語NP の情報特性に与える影響 実例考察
5.2.1 「副詞+主語NP」 新情報としての主語NP
5.2.2 「主語NP +副詞」 旧情報としての主語NP
5.2.3 「副詞+主語NP」と「主語NP+副詞」の情報構造の差が認め難い場合
5.3 まとめ
6. 状況副詞句の節外抜き出し 統語分析とその限界
7. 状況副詞句の節外抜き出しを可能にする機能論的条件
7.1 副詞の指示性
7.2 機能文法の可能性
7.2.1 話し手が補文内容に対して取る態度
7.2.2 主節動詞が形成する主節の情報特性への配慮 「地」・「図」の導入
7.2.3 まとめ 状況副詞句の節外抜き出しに関する機能論的条件
8. おわりに

第6章 文末における状況副詞句の統語的特性
1. はじめに
2. 接辞投射句構造と英語状況副詞句
2.1 文末における状況副詞句の配列傾向、配列条件及び文副詞化
2.2 接辞投射句におけるPP 配置
2.3 PP Shell 構造の問題点とその解決
2.3.1 PP Shell 構造の特性
2.3.2 PP Shell 構造を支える意味解釈原理
2.3.3 意味解釈原理と有標PP 配列
2.3.4 PredP とPP Shell 構造
2.3.5 まとめ
3. PP のVP 右方付加論の功罪
3.1 PP のVP 右方付加論の問題点とその克服
3.1.1 PP 配列における文副詞的PP をVP 右方付加構造にどの様に組み込むか? LCA の部分的採用
3.1.2 束縛原理とVP 右方付加構造の矛盾とその解決 叙述構造PredP の採用
3.1.3 PP スクランブリングと重心原理の矛盾 語彙意味選択域特性への配慮
3.2 まとめ
4. おわりに

第7章 様態性の尺度と副詞配列の相関
1. はじめに
2. 様態成分の意味的連続性
2.1 概観 様態性と状況性の反比例関係
2.2 様態性の尺度① 動詞右方
2.3 様態性の尺度② 動詞左方
2.4 機能階層内部の様態性
2.4.1 モダリティー様態の[*様態性]特性  一般論
2.4.2 ヘッジとしての法副詞 法副詞と法助動詞の上規則な共起現象
2.5 主語指向様態の[*様態性]特性 主語指向副詞とCAN・WILL の対応
2.6 アスペクト様態の[±様態性]特性
2.7 まとめ
3. 「様態性の尺度」の適用を困難にする要因 副詞配列の上規則性
3.1 VP 全体の情報に基づいた複数の視点候補からの絞り込み
3.2 動詞右方の情報構成
3.2.1 文脈の影響を受け、最小のVP 内の副詞配置に上規則性がもたらされる場合
3.2.2 意味的連結性の原理を機能させる目的で副詞の有標配列が選択される場合
3.3 まとめ
4. 様態性の尺度と副詞配列の相関

第8章 結論 英文法研究における本書の意義

参考文献
あとがき
索引




○本書の間違いに関するお詫び

本書にて、以下の誤りがありました。誠に申し訳ありませんでした。

■p.29 「§3.1動詞の意味特性・・・」の2行下
誤 「本項では」
正 「以下、§3.2から§3.5では」

■p.30 (21)
誤 「(21)意味特性による動詞分類」
正 「(21)MOTION/REST型動詞の下位分類」
また、出典として「(Dixon(2005: 102-110)に基づく)」が必要

■p.39 (40)
出典として「(Dixon(2005: 131-171)に基づく)」が必要

■p.52 下から2行目
誤 「・・・本節では、まず、程度副詞に・・・」
正 「・・・次の第7〜8節で、量化副詞に・・・」

■p.52 最終行
誤 「・・・論じた上で、」
正 「・・・論じ、」

■p.53 1行目
誤 「・・・議論に入る。」
正 「・・・議論に入る前提として本節を位置づける。」

■p.53 2行目の先頭部分
誤 「様態副詞」
正 「量化副詞」

■p.314索引 左 「と」の列
誤 「動詞アスペクト分数」
正 「動詞アスペクト分類」



著者紹介
鈴木博雄(すずき ひろお)
昭和女子大学人間文化学部教授。主な著書・論文に『最新和英口語辞典』(朝日出版社、編集・執筆協力、1992年)、『北米文化事典』(日本英語文化学会、編集・分担執筆、2012 年)、「英語学研究史における20世紀後半以降の英語副詞研究の位置づけ」『英語文化研究』(日本英語文化学会編、成美堂、2013 年)など。



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