明治詩の成立と展開 学校教育との関わりから 山本康治 著
2012年2月
明治詩の成立と展開 学校教育との関わりから
山本康治 著
A5判上製 定価5,600円+税
ISBN 978-4-89476-592-4
ひつじ書房
明治19年の「学校令」を契機に新体詩が人々に認知され、新体詩ブームが巻き起こる。本書はその実態が実は教育現場での使用であったことを明らかにする。また、現在、多くの人が共有する、国語教育=文学という国語教育観が、明治33年の「改正学校令」を契機とする、ヘルバルト派教育学の影響を受けての「美感」の養成の結果であることなど、豊富な史料を活用しながら、明治詩を学校教育の観点から捉え直し、これまでにない新しい切り口を示す。
【目次】
序論
第一章 本研究の意義と目的
第二章 先行研究の現在
教育における新体詩
Ⅰ 新体詩の成立と展開 ―学校教育との関わりから ―
第一章 漢語の流行と『新体詩抄』
漢語の流行
漢語による欧化推進
『新体詩抄』の漢語否定
『新体詩抄』の限界
第二章 『新体詩歌』詩篇と自由民権運動
自由民権運動と『新体詩歌』
『新体詩歌』の傾向分類
鈴木券太郎「湘南秋信」について
東京大学との関係
自由民権運動と新体詩ネットワーク
第三章 「社会学の原理に題す」を読む
日本におけるスペンサー受容
「人権」を巡る論争
自由民権運動との関わり
第四章 新体詩流行の背景と軍歌 ― 明治期学校教育における力学 ―
『新体詩歌』合本群の成立
明治十九年における『軍歌』の大量出版
学校教育への軍歌の導入
新体詩・軍歌・教育の癒着
第五章 学校教育の場における新体詩の位相
『新体詩歌』から『軍歌』へ
詩集『軍歌』について
詩篇「軍歌」について―詩篇「抜刀隊の歌」との関わりから―
詩篇「小楠公を詠ずるの歌」について―「修身」科との関わりから―
教育現場における新体詩・軍歌
軍歌注釈書の出現
Ⅱ 新体詩の変容 ― 日清戦争と抒情の成立 ―
第一章 日清戦争と新体詩
外山正一「旅順の英雄可児大尉」
抒情詩の前夜
第二章 日清戦争後の新体詩をめぐる言説について― 島崎藤村 抒情成立の前夜 ―
明治二十八年の新体詩を巡る言説空間
藤村の韻律論
「情」の表現の場への模索
第三章 藤村と日清戦争― 島崎藤村「農夫」におけるナショナリズムを巡って ―
詩篇「農夫」に見られるナショナリズム
「農夫」の変容
藤村におけるナショナリズムとその射程
個の感情と新体詩
Ⅲ 新体詩と学校教育 ―ヘルバルト派教育学との関わりから ―
第一章 「国語」科成立と新体詩の受容
「国語」科の成立とその傾向
「韻文」教育の実際 ―普及舎版『新編国語読本』を中心として
新体詩の掲載およびその指導について
「国語」科の成立とその周辺
第二章 「美文」の流行と学校教育
「美文」を巡る問題系
「美文」成立の背景
武島羽衣の美文観
「美文」の「現在」性
美文指南書の出版について
美文の流行と学校教育
第三章 ヘルバルト派教育学と国語教育
ヘルバルト派教育学の日本への移入
教育現場におけるヘルバルト派教育学の実践
ヘルバルト派教育学と国語教育
第四章 国定教科書における韻文教育
第一期国定教科書の制定
第一期国定教科書への批判
第二期国定教科書の制定
再び「趣味」ということ
第五章 国定教科書所収教材の受容調査
国定教科書所収教材に対する児童の意識調査
第一期国定教科書に対する調査
国語教育と文学
結語 新体詩と教育について
参考文献
資料編
資料解題
①『訂正軍歌集註釈』
②『新編国語読本編纂趣意書』
③『新編国語読本 歌曲并ニ遊戯法』
④ 第二期国定教科書『尋常小学読本』【部分】(「うめぼし」、「人のなさけ」、「冬景色」)
⑤ 第二期国定教科書『高等小学読本』【部分】(「空の景色」、「鎮守の森」)
初出一覧
あとがき
索引
【執筆者紹介】
山本康治(やまもとこうじ) 一九六二年、愛知県生まれ。東海大学大学院博士後期課程満期退学。専攻は日本近代文学、国語教育。東海大学短期大学部専任講師、准教授を経て、現在、東海大学短期大学部教授。博士(文学)。
〈主な著書・論文〉
「茨木のり子」(『展望 現代の詩歌 詩Ⅳ』明治書院)、「『新体詩歌』注釈」(『新古典文学大系明治編12新体詩・聖書・讃美歌集』岩波書店)、「八木重吉」 (『新研究資料日本現代文学第7巻』明治書院)、「明治期国語教育の展開―文学教育はどのように生まれたのか」(『可能性としてのリテラシー教育―21世紀の〈国語〉の授業にむけて』ひつじ書房)、「小学校教員養成課程『国語科教育法』実践報告」(東海大学教育研究所研究資料集)、など。
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