言語機械の普遍幻想 浜口稔著 ひつじ書房 言語機械の普遍幻想―西洋言語思想史における「言葉と事物」問題をめぐって 浜口稔著 ひつじ書房
2011年5月(3月)

言語機械の普遍幻想

―西洋言語思想史における「言葉と事物」問題をめぐって


浜口稔著

A5判上製カバー装 9,800円+税

ISBN 978-4-89476-553-5

ひつじ書房


要約

言葉と事物の対応は、西洋人にとって宿年の難題であり続けた。かつて言葉の理論とは即事物の理論(自然学・博物学)であったが、近現代の言語学は事物世界から離反した自律的立場を志向し、その難題を回避した。言葉の理論は一方で事物を制御する言語機械として展開し、近現代の言語学も機械論的な特徴を尖鋭化させた。この経緯は言語研究の学としての成立にも触れてくる。本書は、こうした言葉と事物の相関を西洋言語思想史に底流する観念の歴史として浮き彫りにする。


目次

はじめに  vi  
言語とはいかなる存在であるのか  vi  
言語学者にとって言語とは何か  ix  
言語の思想史―事物世界に囲まれて  xiv  

第1章 普遍文法は事物の秩序を映し出すか  001  
クラテュロスとアダムの言語  001  
言葉と事物の対応  003  
普遍文法学の誕生―  
文法は事物の秩序の鏡となりうるか?  006  
概念世界を映す文法  008  
ロジャーベイコンの言語戦略  012  
ルルスの言語機械  013  
ダンテの普遍文法と俗語の昇格  015  
天界から俗世へ―ラテン語の凋落  018  
俗世言語の俗語文法―ネブリハの革新  020  
俗語による普遍の研究―  サンクティウスからポールロワイヤルへ  022  
ラテン語、汎ヨーロッパ共通語から失墜する  025  
普遍言語の着想源としてのヘブライ語  028  
魔術的言語から能作的理性へ  032  
秘密結社から学会へ―普遍言語の研究拠点として  033  
デカルトの反普遍言語的見解  037
  
第2章 言葉の事物論をめざして  047  
事物の氾濫、言葉の混乱  047  
存在の連鎖から哲学言語へ  049  
フランシスベイコンの言語観と暗号の伝統  051  
真正の文字としての事物記号を求めて  054  
東アジアの普遍文字、漢字  055  
場所記憶術と弁論の段落化  058  
記憶術から図表理論へ  061  
普遍的知識のための人工言語  065  
哲学言語と事物記号  067  
哲学言語の限界  069  
普遍的分類の無根拠性―ボルヘスの洞察  074  

第3章 粒子の時代の結合術―万有引力、観念連合、普遍記号学  081  
事物の秩序、記号の体系  081  
事物理論としての自然観の革新  083  
万有引力と事物の形成  085  
言葉の万有引力―ロックの言語論  088  
万学の吸引者、ライプニッツ登場  092  
ライプニッツの普遍記号学構想  093  
ルルスの論理機械  095  
ライプニッツの論理機械  097  
普遍百科学の永久機関  100  
モナドの結合術  102  
精神の器官としての普遍記号学  105  
表象主義と事物操作の記号術  107  

第4章 言語機械の誕生―囲い込まれた言葉と事物  113  
宇宙機械への信仰  113  
工作する理性、実践的知識の集約  116  
時計の発明と時間の切り分け  118  
時間世界の機械論  120  
活版印刷術と情報爆発  122  
活版印刷と国語の確立  124  
多言語の表覧化―印刷術の活躍  128  
国語、そして帝国言語の普及  130  
書物機械、そして言語学の諸概念の誕生  132  

第5章   哲学言語の残照、追い続ける普遍  139  
フランス語の世紀  139  
認識と言語の起源  140  
言語と共同体の起源  143  
普遍言語運動の再燃と挫折  144  
多言語の採集と言語の比較  146  
比較言語学の黎明  149  
言語研究の科学化へ向けて  150  
科学としての言語学とは?  154  
帰納法と言語学  158  
生物学的言語観から機械論的言語観へ  159  
青年文法学派の機械論  162  
キュヴィエの比較解剖学と言語の構造  163
囲い込まれた言語―フンボルトの言語観  165  
言語体系への覚醒  170  
ラングの構成要素と体系性  173  
言語機械論の時代  174  

第6章 言語機械の理論幻想―クラテュロス問題は消えず  183  
新大陸における言語研究の変貌  183  
ブルームフィールドの物理主義―厳密科学としての言語研究  186  
外観主義の言語学―IC分析  190  
外観主義的IC分析の限界―時蝿は矢がお好き  191  
チョムスキー登場―内観主語的言語機械論  195  
言語機械は「色のない緑の観念」の夢を見るか  199  
内観主義と言語学的直観  200  
科学哲学の新展開  203  
外観主義と内観主義の機械論―心身二元論の誤謬  206  
現実の抽象と言語概念の抽象  209  
言語研究と科学的検証の手順  213  
言語機能の普遍性―言語系がないと人間ではない?  216  
言語学版「オッカムの剃刀」  220  
言語と認識の限界  222  
客観的世界という幻想  224  
言語機械の〈わたし〉幻想  226

あとがき  234  
事物索引  244  
人物索引  2



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