ひつじ書房 合理的なものの詩学 近現代日本文学と理論物理学の邂逅 加藤夢三著 ひつじ書房 合理的なものの詩学 近現代日本文学と理論物理学の邂逅 加藤夢三著
2019年11月刊行

ひつじ研究叢書(文学編) 12

合理的なものの詩学 近現代日本文学と理論物理学の邂逅

加藤夢三著

定価5600円+税 A5判上製 384頁 

ブックデザイン 坂野公一(welle design)

ISBN 978-4-8234-1025-3

ひつじ書房

The Poetics of Rationality

Kato Yumezo



近現代日本文学の書き手たちは、同時代の理論物理学やその周辺領域の学知に、どのような思考の可能性を見いだしていたのか。「合理」的なものの見方を突き詰めていたはずの作家たちの方法意識が、時として「非合理」的な情念へと転化するのはどうしてなのか。本書は、その総合的な表現営為のありようを検討することを通じて、モダニズムの文芸思潮から今日のサイエンス・フィクションにいたるまでの芸術様式の系譜を再考することを試みたものである。


目次

序章 思考の光源としての理論物理学
 一 二〇世紀物理学という「事件」
 二 昭和初期における理論物理学と文芸思潮の交錯
 三 本書の構成と概要

Ⅰ 文芸思潮と理論物理学の交通と接点

第一章 「科学的精神」の修辞学―一九三〇年代の「科学」ヘゲモニー
 はじめに
 一 浮遊する「科学的精神」
 二 文学者と「科学的精神」
 三 科学者共同体と「科学的精神」
 四 「偶然文学論争」の混成的位相
 おわりに

第二章 「現実」までの距離―石原純の自然科学的世界像を視座として
 はじめに
 一 石原純の「科学」論
 二 石原純の「芸術」論
 三 「新しい現実」をめぐる言説布置
 おわりに

第三章 ジャンル意識の政治学―昭和初期「科学小説」論の諸相
 はじめに
 一 「探偵小説」のなかの「科学」
 二 〈自然科学=人間科学〉のパラダイム
 三 「純粋」な「科学小説」
 四 「懸賞科学小説」のゆくえ
 おわりに

Ⅱ  横光利一の文学活動における理論物理学の受容と展開

第四章 新感覚派の物理主義者たち―横光利一と稲垣足穂の「現実」観
 はじめに
 一 「法則」の優位性
 二 認識論と存在論
 三 近現代物理学の転轍点
 おわりに

第五章 観測者の使命―横光利一『雅歌』における物理学表象
 はじめに
 一 書きなおされる物理学者
 二 量子力学の問題構制
 三 「文学のみの科学」の考究
 おわりに

第六章 「ある唯物論者」の世界認識―横光利一『上海』と二〇世紀物理学
 はじめに
 一 〈身体〉と〈肉体〉のはざま
 二 戯画としての「骸骨」
 三 現象に伏在する「精神」
 おわりに

Ⅲ モダニズム文学者と数理諸科学の邂逅と帰趨

第七章 「合理」の急所―中河與一「偶然文学論」の思想的意義
 はじめに
 一 標語としての「知的浪漫主義」
 二 「合理」と「非合理」のはざま
 三 同時代思潮との交点
 おわりに・

第八章 多元的なもののディスクール―稲垣足穂の宇宙観
 はじめに
 一 「必然性」からの脱却
 二 「物質」と「場」のドラマ
 三 「無限宇宙」の存立構造
 おわりに

第九章 「怪奇」の出現機構―夢野久作『木魂』の表現位相
 はじめに
 一 数学的理性への偏執
 二 逸脱する記号演算
 三 「怪奇小説」の記述作法
 おわりに

終章 パラドックスを記述するための文学的想像力
 一 「経験」と「理論」の乖離
 二 パラドックスはなぜ回避できないのか

補論ⅰ  「存在すること」の条件 ―東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』の量子論的問題系
 はじめに
 一 量子テクノロジーの到達地点
 二 「計算」の理念
 三 汐子は「存在」するか
 おわりに

補論ⅱ  自己言及とは別の仕方で―円城塔『Self-Reference ENGINE』と複雑系科学
 はじめに
 一 「私」語りの作法
 二 生成変化する「私」へ
 三 生命モデルとしての多元宇宙
 おわりに


初出一覧
あとがき
索引


著者紹介
加藤夢三(かとう ゆめぞう) 1990年、東京都生まれ。東京都立竹早高等学校・早稲田大学文学部卒業、同大学教育学研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)・早稲田大学ほか非常勤講師。


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