ひつじ書房 A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language  若狭基道著 ひつじ書房 A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language  若狭基道著
2020年2月刊行

A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language

若狭基道著

定価45,000円+税 菊判上製 852頁

装丁 大崎善治

ISBN 978-4-8234-1024-6

ひつじ書房

A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language
WAKASA Motomichi


【内容】
エチオピアの南西部で話されているウォライタ語(アフロアジア大語族、オモ系)の総合的で詳細な記述的研究。有声喉頭化音の存在の指摘、表記の実態の分析、「具体性」という概念を用いた普通名詞の形の使い分けの解明、固有名詞の多面的な記述、ヴォイスの複合現象の検討等、オリジナルな視点を含みつつもレファランスグラマーとして望ましい姿を模索。世界的に密かな注目を集めていた博士論文、待望の出版。

This book is a comprehensive and detailed descriptive study of Wolaytta, an Omotic language of the Afroasiatic phylum spoken in the southwestern part of Ethiopia. It is a valuable reference grammar rich in original observations and ideas, including recognition of the existence of voiced glottalized sounds, analyses of actual written Wolaytta, elucidation of common noun forms and their uses based on the notion of “concreteness,” descriptions of proper nouns from various perspectives, and observations of complex voices. The book is a revised version of the author’s 2008 doctoral dissertation, which has been quietly attracting attention from linguists around the world. Its publication is sure to be eagerly received.


【本文見本(PDF)】
見本1(Chapter 4 p.152〜)
見本2(Chapter 4 p.181〜)


【目次】

Preface
Abbreviations

Chapter 0 Introductory Notes
0.1 Aim of This Book
0.2 Approach
0.3 Methodology

Chapter 1 The Wolaytta Language: Some Background
1.1 Location of Wolaytta
1.2 Names of the Language
1.3 Comparative Linguistics on Wolaytta
1.4 Neighboring Languages
1.5 Speaker Population
1.6 Previous Works
1.7 Ethnology of Wolaytta

Chapter 2 Phonology
2.1 Consonants
2.2 Vowels 2.3 Syllable Structure and Phonotactics
2.4 Prosodic Features

Chapter 3 Grammatology
3.1 Introductory Notes on Wolaytta Grammatology
3.2 Wolaytta Written in the Latin Alphabet
3.3 Wolaytta Written in the Ethiopic Script
3.4 Grammatology by Fieldworkers

Chapter 4 Word Classes
4.1 Introductory Notes on Wolaytta Word Class
4.2 Nominals
4.3 Indeclinables
4.4 Verbs
4.5 Unanalyzed Elements

Chapter 5 Stem Formation
5.1 Root and Stem
5.2 Noun Stem Formation
5.3 Verb Stem Formation

Chapter 6 Syntax
6.1 Constituent Order
6.2 Agreement

Chapter 7 Sociolinguistics
7.1 Wolaytta in a Multilingual Society
7.2 Variation in Wolaytta


Texts
Appendix
References
Index



【ウォライタ語および本書の特徴と、他の言語の研究との関係】

音声上の特徴
・日本語や英語には見られない、非肺臓気流による子音(喉頭化音)について
→2.1.3
・有声の喉頭化音について
→2.1.3.2 / 2.1.3.3

文字表記について
・2種類の文字(エチオピア文字、ラテン文字)に慣れ親しんではいるが自分達の言語の「正書法」を習わなかった人達が自分達の言語を自分なりに書こうと試みる時にどのような現象が見られるのか、そこから何が分かるのかを議論
→Chapter 3

名詞について
・普通名詞が「具体性」(具体的な指示物が想定され得るか否か)という観点から使い分けられていること、さらにはその使い分けが格によって微妙に異なる
→4.2.1.4

・男性名詞と女性名詞に分類されるが2つは対等ではなく、純粋な女性名詞は極めて少ないこと、生物学的に女性を表す名詞であっても男性名詞から派生された女性名詞でありうる
→4.2.1.6.2

・人名を表す名詞の形態上のグループと音調上のグループの組み合わせに偏りが存在する
→4.2.2.3.2

そのほか
・日本社会とは異なった名付けの方法がある
→4.2.2.3.5

・序数詞に、同種の物の繰り返しの回数を問題とする場合と異種の物のランク・レベルを問題とする場合を区別する必要がある可能性について議論
→4.2.3.3

・間接話法と直接話法の混じった話法が存在する
→4.2.4.3
(この点に関しては若狭(2013)「ウォライタ語の引用句を含む文の統語構造」『言語研究』143: 69-80、若狭(2013)「ウォライタ語の引用句の性格」『東京大学言語学論集』34: 185-198で更に議論を発展させた。)

・日本語の「ように」と似た多義性を示す後置詞-daaniに関し、その中心となる意味は「別の見方の提示」であることを議論
→4.2.8.4.6

・主語とそれ以外を文法上区別していることを議論
→4.4.3.3.1(動詞連体形の形に関して)
→4.4.5.1(事象の完結を表す接辞に関して)

・動詞連体形の被修飾語が関係節の外と中の同時に現れる場合があること、それが可能な条件が言語類型論でなされて来た一般化に反していると思われることを論じる
→4.4.3.3.3

・ヴォイスを表す接辞が複数組み合わされる場合がある
→5.3.2.4

・この言語では主語と述語動詞が一致するが、形よりも意味が優先される場合がある
→6.2



■書評が掲載されました
『アフリカ研究』103号(日本アフリカ学会)
評者:Seunghun J. LEE

【著者紹介】
若狭基道(わかさ もとみち)
2005年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学
2008年博士(文学、東京大学)
現在、跡見学園女子大学、白鷗大学、東京外国語大学、明星大学非常勤講師

〈主な著書・論文〉
「ウォライタ語の引用句を含む文の統語構造」『言語研究』143 (2013)
『ニューエクスプレス アムハラ語』白水社(2018)
「カンバタ語のテキスト」『アジア・アフリカ言語文化研究』97(2019)


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