ひつじ書房 「重複」の文法的研究 程莉著 ひつじ書房 「重複」の文法的研究 程莉著
2020年8月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第171巻

「重複」の文法的研究

程莉著

定価4000円+税 A5判上製 160頁

白井敬尚形成事務所(ブックデザイン)

ISBN978-4-8234-1018-5

ひつじ書房

AThe Study of Redundancy from a Grammatical Perspective
Cheng Li



程莉先生ご自身による自著紹介

【内容】
表現の重複は、「量の公理違反」という語用論の問題でしかないのだろうか? 実際には、重複表現は言語の至るところに遍在しており、その自然さは、言語によって、また構文によって異なる。「冗長性」として忌避される重複だけでなく、許容される重複、好まれる重複、果ては「一致」「呼応」「同族目的語」「係り結び」の名のもとに文法システムに取り込まれて必須のものとなる重複まで、さまざまなものがある。本書は、現代日本語と現代中国語における重複表現の自然さを、文法の観点から記述分析し、重複と文法の関係を明らかにした。



【目次】
I 序論
第1章 はじめに
1. この本の問題意識と目的
2. この本の考察対象
3. この本の研究方法とデータ
4. この本の構成

第2章 前提
1. この本の立場
2. 重複と関係する先行研究
2.1 牧野(1980)
2.2 野田(2007)
2.3 この本の「重複」との関係
2.4 この本で扱う「重複」の特徴
II 異なる構造における重複

第3章 「項-述語」構造における重複
1. 問題の提起
2. 考察対象
2.1 V の重複とNの重複
2.2 V の重複における疑似的な重複
3. 一般的な規則
3.1 射程
3.2 V の重複
3.2.1 原則:V の重複と語の不透明性
3.2.2 V の重複と主要部の位置、語彙化
3.2.3 「結果目的語」との関わり
3.3 Nの重複と語の不透明性
3.4 本節のまとめ
4. 補足的な規則
4.1 先行研究
4.1.1 仁田(1980)・島村(1985)・小林(2004)
4.1.2 張(2010)
4.1.3 先行研究との相違点・類似点
4.2 前提
4.3 VtN が他動詞の場合
4.3.1 VtN の「N」と関係づけられる項
4.3.2 飽和名詞と非飽和名詞
4.3.3 関心を持つ側面
4.4 VtN が自動詞の場合
4.4.1 「動詞句のタイプ」による説明
4.4.2 「動作主性」と「意志性」による説明
4.5 本節のまとめ
5. まとめ

第4章 「主題-題述」構造における重複
1. 問題の提起
2. 考察対象
3. 「意味論」と「統語論」の関与
3.1 修飾要素がない場合の名詞重複
3.2 修飾要素の重複
3.3 被修飾要素の重複
3.3.1 措定文における被修飾要素の重複
3.3.2 指定文における被修飾要素の重複
3.4 「修飾要素+被修飾要素」の重複
3.5 本節のまとめ
4. 「語彙論」の関与
4.1 合成語の重複と単純語の重複
4.2 複合語の重複と派生語の重複
4.3 和語の重複と漢語の重複
4.4 項目語の重複とそれ以外の語の重複
4.4.1 項目語の重複
4.4.2 項目語以外の語の重複
4.5 引用部「という」の介在
4.5.1 相手が知らないことか否か
4.5.2 「A」が飽和名詞か否か
4.6 本節のまとめ
5. 「意識の推移」の関与
6. まとめ

第5章 「修飾-被修飾」構造における重複
1. 背景
2. 名詞修飾型の重複
2.1 「白い雪(“ 白雪”)」
2.2 「これらの5 人の学生(“?? 这些5 个学生”)」
3. 動詞修飾型の重複
3.1 「あらかじめ予約する(“ 事先预约”)」
3.2 「本を最後まで読み終わる(“?? 看完这本书看到最后”)」
4. まとめ

第6章 「並列」構造における重複
1. 問題の提起
2. 前提
2.1 省略の定義に関する先行研究
2.2 考察対象
3. 日本語と中国語の違い
4. 英語と中国語の違い
5. 今後の課題
6. まとめ

第7章 その他の重複
1. 問題の提起
2. 話しことばでの重複の特徴
2.1 重複の箇所
2.2 重複の内容
2.3 重複の方式
2.4 重複の生じる範囲
3. 話しことばでの重複の生じ得る原因
3.1 話し手の態度
3.1.1 強調の態度による重複
3.1.2 ぼやかしの態度による重複
3.1.3 敬意の態度による重複
3.1.4 接続(順接・逆接)の態度による重複
3.2 意識の推移
3.3 文節単位の話し方
4. まとめ


III 結論
第8章 全体のまとめ
1. 各章のまとめ
2. メタ文法のあり方
2.1 規則性1 に対する説明
2.2 規則性2 に対する説明
2.3 規則性3 に対する説明
2.4 規則性4 に対する説明
3. 残る課題
4. 本研究において見込まれる学術的成果

謝辞
参考資料
参考文献
索引
   


【著者紹介】
程莉(てい り)
略歴
中国湖南省出身。中国・武漢大学日本語学科講師。2016年神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、武漢大学ポスドクなどを経て、2019年7月より現職。
主な論文
「「N+を+VNする」型重複表現について―アスペクト的な観点から―」『日本人文社会研究』第1号(2018年)、「「重複」の生じる原因について―話し手の心内行動からの一考察―」『日本語音声コミュニケーション』第7号(2019年)など。


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