ひつじ書房 共同注意場面による日本語指示詞の研究 平田未季著 ひつじ書房 共同注意場面による日本語指示詞の研究 平田未季著
2020年2月刊行

共同注意場面による日本語指示詞の研究

平田未季著

定価6400円+税 A5判上製函入り 244頁

白井敬尚形成事務所(ブックデザイン)

ISBN 978-4-8234-1014-7

ひつじ書房

Japanese Demonstratives and Joint Attention
Hirata Miki


【内容】
本書は、日本語母語話者が目の前の対象へ共同注意を確立するために行うやりとりを観察し、それに基づいたコ系・ソ系・ア系の新たな意味論および語用論的分析を提示する。近年の海外の指示詞研究で注目されている「聞き手の注意の状態」などより相互行為的な要因を分析に導入し、直示用法、テキスト内用法、またコ系・ソ系・ア系に後接する「-レ」、「-コ」などの接尾辞も含め、相互行為場面に根差した統合的な日本語指示詞研究を行う。〈日本学術振興会助成予定刊行物〉



【目次】

Ⅰ 指示詞と共同注意

第1章 指示詞とは何か—共同注意場面における指示詞の重要性
1. はじめに
2. 指示詞とは
3. 共同注意とは
4. 本書が取り組むべき問題
 4.1 国語学・日本語学における指示詞研究
  4.1.1 「人称区分説」
  4.1.2 「距離区分説」
  4.1.3 談話管理理論
 4.2 残された問題点
5. 本書の分析手法
 5.1 日本語指示詞の分析手法の問題点
 5.2 本書が用いる自然談話データの概要
6. 本書の構成

第2章 本書の分析の枠組み—注意と会話の推意を用いた指示詞分析
1. はじめに
2. 従来の距離中心主義的な指示詞記述の枠組み
3. 新たな指示詞記述の枠組み
 3.1 注意概念の導入
  3.1.1 指示詞の再定義
  3.1.2 注意概念を用いた個別言語の研究
  3.1.3 理論的研究と個別言語の研究を統合したDiessel(2006)
 3.2 会話の推意理論の導入
4. 彼らの分析に残された課題
5. まとめ


Ⅱ 日本語指示詞の意味論的分析

第3章 注意概念を用いた「中距離指示」のソ系の再分析
1. はじめに
2. 先行研究における「中距離指示」のソ系の記述と問題点
3. 注意概念を用いた指示詞研究
 3.1 Diessel(1999, 2006)による指示詞の再定義
 3.2 注意概念を用いたトルコ語指示詞の分析
 3.3 注意概念を用いたジャハイ語指示詞の分析
4. 注意概念を用いた「中距離指示」のソ系の分析
 4.1 発話時に聞き手の視野に入っている対象の指示
 4.2 発話時以前の聞き手の視覚的注意を利用した指示
 4.3 「聞き手の注意の存在」を示すソ系
5. まとめ

第4章 ソ系の外部照応用法と内部照応用法の統一的分析
1. はじめに
2. 談話・テキスト内における注意概念の解釈
3. 聞き手の注意の有無を示す指示形式の談話直示用法
 3.1 聞き手の注意の平行的解釈の仮説
 3.2 談話直示用法の定義
 3.3 物理的対象から言語的対象へ
4. 談話管理理論との関わり
 4.1 談話管理理論におけるソ系の記述とその問題点
 4.2 「聞き手の注意」と「間接経験領域」の再定義
5. まとめ

第5章 無標のコ系と有標のア系—会話の推意理論を用いた指示詞分析
1. はじめに
2. 従来のコ系・ア系の意味記述とその問題点
3. 尺度推意理論を用いた指示詞分析
 3.1 指示詞における新たな最小の意味的対立
 3.2 Levinson(2000)の尺度推意理論
 3.3 Enfield(2003)のラオ語指示詞分析と‘DEM’概念
4. Enfield(2003)の枠組みを用いたコ系の分析
 4.1 ‘HERE’
 4.2 自然談話におけるhere-space とコ系の選択
  4.2.1 話し手のhere-space に含まれる対象を指すコ系
  4.2.2 明確なhere-space の不在
  4.2.3 話し手のhere-space に含まれない対象を指すコ系
 4.3 会話の推意としての近接性
5. Enfield(2003)の枠組みを用いたア系の分析
6. まとめ

第6章 注意概念と会話の推意理論を用いた日本語指示詞の体系化への展望
1. はじめに
2. 先行研究における日本語指示詞の体系化
 2.1 佐久間の人称区分説
 2.2 三上の二重の2 項対立説
 2.3 三者共存説
 2.4 直示的なコ系・ア系と非直示的なソ系
 2.5 三上の二重の2 項対立説と本書の分析の相違点
3. 聞き手の注意状態を軸とするソ系とコ系の対照集合
 3.1 談話直示用法におけるソ系とコ系の分布
 3.2 外部照応用法におけるソ系とコ系
4. 日本語指示詞の通時的な成り立ち
 4.1 空間概念「非近」、「近」の発生
 4.2 「聞き手の注意の存在」を示すソ系の歴史的背景
 4.3 「聞き手領域指示」用法の発生
5. 3 項4 義体系における「聞き手領域指示」のソ系
 5.1 「聞き手領域指示」のソ系とコ系の対照集合
 5.2 「聞き手領域」とア系の指示領域
 5.3 「 聞き手領域」と「聞き手の注意の存在」のハイアラーキー
6. まとめ


Ⅲ 日本語指示詞の語用論的分析

第7章 共同注意場面の構造と指示詞選択のダイナミクス
1. はじめに
2. 共同注意確立活動
 2.1 自然談話データを用いる指示詞研究の問題点
 2.2 共同注意確立活動の定義
3. 日本語指示詞の質的素性・統語素性の語用論的分析
 3.1 日本語指示詞のパラダイム
 3.2 質的素性・統語素性の分析の不足
 3.3 質的素性・統語素性の選択による聞き手の負荷軽減
  3.3.1 a タイプの例
  3.3.2 b タイプの例
  3.3.3 c タイプの例
 3.4 より相互行為的な共同注意確立活動との比較
4. 共同注意場面における直示素性と質的素性・統語素性の統合的な利用
 4.1 指示対象へのHIGH FOCUS とLOW FOCUS
 4.2 HIGH FOCUS のア系とLOWERであるコ系
  4.2.1 ‘HERE’という空間情報を伝えるHIGH FOCUS のコ系
  4.2.2 LOW FOCUS のコ系
 4.3 LOW FOCUS のソ系
  4.3.1 聞き手の注意状態を「先行文脈」とするソ系
  4.3.2 ランドマーク指示のソ系
5. まとめ


第8章 おわりに
1. 本書のまとめ
 1.1 第1 部における問題提起
 1.2 第2 部の意味論的分析
 1.3 第3 部の語用論的分析
2. 今後の課題


参考文献
あとがき
索引


【著者紹介】
平田未季(ひらた みき) 1979年北海道生まれ。北海道大学大学院国際広報メディア研究科博士後期課程修了。博士(国際広報メディア)。秋田大学国際交流センター助教を経て、2018年より北海道大学高等教育推進機構および北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院言語コミュニケーション論講座准教授。主な論文として、「注意概念を用いたソ系の直示用法と非直示用法の統一的分析」『言語研究』第146号(2014年)、「コ系の意味の再分析―指示詞体系における新たな最小の意味的対立」『国立国語研究所論集』第10号(2016年)、「共同注意確立過程における話し手による指示詞の質的素性の選択」『語用論研究』第18号(2016年)。などがある。


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