菅谷さんのお話はいつも明瞭で判りやすく、聞いていて心地よいものがあります。おまけにそれがメディア・リテラシィという、ものの見方・考え方に関する内容を持ち、「多様性」という地平を見つめるのだから、なんともすてきな刺激を感じるのです。
府川先生の「地道に気長にやろう」というのは、「その通り」の一言です。でも、細々とでも研究し交流してゆく一方で、シンボリックな普及もしたいです。あまりにゆるやかだと、先細りで立ち消えに近くなる可能性もある。三人のパネリストの方々をセッティングした、ひつじ書房の企画はとても良かったです。(司会の松本さんは、誠実さがあってすてきでしたが、もう少し会場にマイクを向ける方が、よりインタラクティブになると思います。)
テーマとした『メディア・リテラシーと国語教育』というシンポジウムの課題設定が無理があった、というか、面白い三人を集めたのに噛み合わなかった印象です。府川さん、宮川さんとも面白い方で、個々におやりの論文は、「メディア・リテラシー」の問題意識でより評価できる、オリジナルな研究だと思います。もっと勝手にそれぞれが御自分の研究のエッセンスをお話になった方が面白かったろう。(特に、府川さんが御自分自身の国語・教材批判の問題意識を話されず、さらに松本さんの学校批判の挑発にも乗らなかった事が印象的でした。学校教育の中でメディア・リテラシーを入れ込むには、「国語科」より、「可能性としての学校図書館」とか、一部私学などで既に行われている、「総合学習」や「人間生活科」の方が無理がないのでは・・・。どだい「国語科教育」の可能、不可能性の話は、「メディア・リテラシー」のテーマで置き換えられないのではないかと私は思います。(学校教育には門外漢ですが。)それにしても自分でも前から興味のあった小田光雄、山本芳明さん以来、会を三回続けて学ばせてもらいました。さて、ここからどんなメディア状況批評を立ち上げるか?