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「学術書の出版の仕方」の第2回です。
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◆出版助成金が刊行には必要なのだろうか
学術研究書を出そうと思ったときに、出版助成金が刊行には必要なのだろうか、と思 われるかもしれません。出版助成金を使って本を出す場合と使わないで出す場合がありますが、どんな違いがあると思われますでしょうか。助成金がなくても本を出せます。かならずしも、助成金を取ることを前提に考える必要はありません。では、助成金が必要のない場合はどういう場合でしょうか。
ひつじ書房では、日本語の文法の研究のシリーズとして日本語研究叢書を刊行していますが、助成金を取らずに刊行し続けています。これは日本語文法というジャンルが、1980年代末から、必要とされ、注目されてきたジャンルであるからということがあります。日本語研究叢書の第一期の場合、予約数が、400部近くありました。
研究の内容が、注目されているテーマやジャンルであれば、その本の読者は存在していますので、本を出して赤字になるということは避けられます。製作コスト、編集コスト、営業コストなどの諸コストよりも、読者が購入してくれる売り上げの方が多いと言うことです。この場合は、助成金は必要ありません。売れ筋の本でなくても、関心を集めているテーマであれば、助成金なしでも本を出すことができます。
しかし、諸コストを回収できるほどには売れない場合には、助成金が必要になります。学術研究は、その時々の世の中の関心に直接的に関係を持つわけではありません。これから注目される先進的な分野の場合、基礎的な研究ではあるが、コストに見合う数の研究者に購入されないというような研究であれば、助成金なしでは、刊行することは難しいことになります。
◆研究書を出すのに助成金が必要な場合が多い
研究というもの自体が、そもそも商業性を第一目的にしているわけではありませんので、商品としての採算を取りにくいような研究が多いのは、当然です。そもそも、大学の研究自体が、公共性のためであることがありますので、助成金が必要である場合の方が一般的です。つまり、助成金は多くの場合、必要であるということになります。情報の公共性を個人的な購入で支えること自体に困難があるので、公的な助成が必要ということになります。個人の購買行動だけでは、研究と研究の公開を支えられないということ、このことに出版助成金の根本的な意味があります。私自身は、優れた研究について、個々人が支えるという個人的な読者行為の可能性を期待しています。現状で支えきれない部分を公的な助成金で支えるのだと思っています。
◆出版助成金がありさえすれば、出せる?
日本の学術振興会の出版助成金の場合、広く機会を提供しようというのが趣旨ですので、助成されますのは、助成金額が十分というわけではありません。基本的性格に制作費の一部という制限があります。制作費も全部ではないということと、出版社側の人的コストなどの編集費などは認められないということです。ということは、助成金をもらって刊行する本であったとしても、全然売れないということであれば、出せないということです。助成金をとって出すにしろ、読者と著者の支えがなければ、出すことはできません。公的な助成と読者の両方からの支援で出すものです。話は逆になりますが、出版社にとって助成金を取るメリットとは何でしょうか。経済的に助かるということはもちろんあります。しかし、それ以外に実は重要なことがあるのです。助成金をもらって本を出すという場合、学術振興会との約束ということになりますので、遅くとも2月の末までに本を出す必要があります。このことは、計画通りに本を作ることができるということで、とても大きなメリットなのです。
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